WHAM!『MUSIC FROM THE EDGE OF HEAVEN』(1986)
ジョージ・マイケルが亡くなってから、本日でまる1年。というころで、今日は予定外にもう1本更新しようと思います。
本作『MUSIC FROM THE EDGE OF HEAVEN』はジョージ・マイケル&アンドリュー・リッジリーによるポップユニット、WHAM!が1986年初夏にリリースした3枚目にして最後のオリジナルアルバム。リリース時にはすでにグループは解散(ラストライブ終了)済みでしたので、そこまで大々的にプッシュされた1枚というわけではありませんでした。
というのも本作は当初、北米とここ日本でしかリリースされていないイレギュラーなオリジナル作品だったのです。WHAM!は解散に際して新録曲3曲(リードシングルとして発表された「The Edge Of Heaven」と、「Battlestations」「Where Did Your Heart Go?」)と初期シングルの最新リミックス「Wham Rap '86」の4曲を用意し、イギリス本国でのシングル限定盤にはこれらすべてを収録。北米&日本限定の『MUSIC FROM THE EDGE OF HEAVEN』に先駆けてリリースされたベストアルバム『THE FINAL』(1986年)にはこのうち新録3曲がすべて収録されていたため、わざわざ『MUSIC FROM THE EDGE OF HEAVEN』をリリースする必要はなかったわけです(ちなみに日本では『THE FINAL』も同時期にリリース済み)。まあ、いろんなしがらみがあったんでしょうね(ジャケットの投げやり感からも伝わってきますが)。
そういう不幸な立ち位置の3rdアルバム。全8曲入りということで、上記の4曲以外には1985年のヒットシングル「I'm Your Man」のリミックス(シングルや12インチ盤未収録バージョン)、「Blue」のライブ・イン・チャイナ、冬の定番曲「Last Christmas」、そしてアルバムに先行して発表されたジョージのソロシングル「A Different Corner」という寄せ集め感が否めない選曲。ただ、こうやって聴いてみると当時のジョージが目指していた方向性や、ここから翌年にかけて本格化するソロアーティストとしての指針が見えてきます。
特に“Cool Side”と題されたアナログB面(M-5〜8)のうち、「Last Christmas」を除く3曲(「A Different Corner」「Blue」「Where Did Your Heart Go?」)あたりに次への布石が感じられる気がするのですが(もちろんA面に配置された「Battlestations」にも)。寄せ集めとはいえ、極甘だった前作『MAKE IT BIG』(1984年)をちょっとビターにしたこの感じ、実は嫌いじゃないです。
今ではストリーミングサービスを通じて、世界各国で試聴可能な本作も、つい最近本国イギリスでデジタル販売が開始されたとのこと。ジョージが亡くなったあとというのがなんとも切ないですが、今日は久しぶりにWHAM!三昧で過ごしてみようかと思います。
▼WHAM!『MUSIC FROM THE EDGE OF HEAVEN』
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