WHITESNAKE『LOVE SONGS』(2020)
2020年11月6日にリリースされたWHITESNAKEの最新コンピレーションアルバム。
本作は今年6月発売の『THE ROCK ALBUM』に続く、<Red, White and Blues Trilogy>と題した新編集によるベストアルバム三部作の第2弾。Red=ラブソング、White=ロックアンセム、Blue=ブルースをテーマに選曲された楽曲群が、リマスター&リミックスにより新たな形に生まれ変わりまとめられています。
第2弾の本作はRed=ラブソングということで、最初はバラードベストなのかな?と想像していたんですが、そういうことではないらしく、いろんな形のラブソングをまとめた(ってWHITESNAKEって基本ラブソングばかりですよね?)、スウィートな楽曲中心の1枚に仕上がっています。選曲範囲は『THE ROCK ALBUM』同様、『SLIDE IT IN』(1984年)以降のアルバム(デヴィッド・カヴァーデイルのソロアルバム『INTO THE LIGHT』含む)からセレクトされているので、アリーナロック調のビッグサウンドで統一感はかなり強いと思います。
以下、収録曲の内訳です。
M-6:『WHITESNAKE』(1987年)
M-2、10:『SLIP OF THE TONGUE』(1989年)
M-5、9:『RESTLESS HEART』(1997年)
M-4、11、12:『INTO THE LIGHT』(2000年/ソロ)
M-3、8:『GOOD TO BE BAD』(2008年)
M-1、13:『FOREVERMORE』(2011年)
M-7、14、15:未発表曲。『INTO THE LIGHT』アウトテイク
前作では最新アルバム『FLESH & BLOOD』(2019年)からのアウトテイクが1曲含まれていましたが、今回はソロ作『INTO THE LIGHT』からのアウトテイクが3曲も。意外と世に出ていない曲って多いんですね。あと、『SLIDE IT IN』から1曲も選ばれていないのが意外でした。
オープニングの「Love Will Set You Free」は意外な1曲でしたが(まあ、タイトルどおりラブソングですからね)、以降はミディアム/スローナンバー中心にセレクト。「Too Many Tears」は『RESTLESS HEART』バージョンではなくてソロのほうなんですね。
今回も原曲にはなかった音が加えられていたり、全体の音像を調整したりと、リミックスと称していろいろ手を加えた曲が多数存在します。耳馴染みの強い「The Deeper The Love」とか「Is This Love」とか、慣れないと驚きますよね(苦笑)。ただ、アルバムごとにエンジニアが異なることで生じたミックスやサウンドプロダクションのバラつきが、よい意味で解消されて統一感が増しているのは興味深いなと思いました。それを良しとするか否かは、聴き手によって大きく異なるでしょうが、僕は好意的に受け取っています。
気になる未発表曲ですが、M-7「With All Of My Heart」はブルージーなスローバラード。個人的には大好物だけど、この並びだと地味ですね。歌メロも変に間延びした感が強いし。M-14「Yours For The Asking」は若干アップテンポめのポップチューンで、M-15「Let's Talk It Over」は賛美歌のようなオルガンの音色が気持ち良いスローバラード。どっちもソロならではといったところでしょうか。落ち着いたトーンで歌っており、シャウトしまくってないところに好感が持てます。
今作のようなミディアム/スローナンバー中心のコンピ盤というと、過去には『UNZIPPED』(2018年)というアコースティック主体の作品との共通点も多数見受けられますが、僕としては今作のほうが好みかな。『THE ROCK ALBUM』はクドすぎたので(笑)、今回はしばらくリピートできそうな1枚だと思います。
▼WHITESNAKE『LOVE SONGS』
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