カテゴリー「Whitesnake」の35件の記事

2022年11月 1日 (火)

V.A.『IMMORTAL RANDY RHOADS - THE ULTIMATE TRIBUTE』(2015)

2015年3月3日にリリースされた、ランディ・ローズ(G/ex. OZZY OSBOURNE、ex. QUIET RIOT)のトリビュートアルバム。日本盤は同年3月25日発売。

ランディのトリビュートアルバムは、過去にオジーの楽曲のみを集めた『RANDY RHOADS TRIBUTE』(2000年)が発表されていますが、今作は1970年代のQUIET RIOT時代の楽曲も含む選曲。また、前作がピュアなHR/HM系アーティストによるものなら、今作はランディと同時代に登場したミュージシャンや活動を共にしたアーティスト、90年代以降のモダンなメタルを奏でるミュージシャンなど、より幅広さを感じさせる人選となっています。

まあとにかく、オープニングの「Crazy Train」を聴いて多くのリスナーがひっくり返るのではないでしょうか。だって、ボーカルがサージ・タンキアンSYSTEM OF A DOWN)、ギターがトム・モレロRAGE AGAINST THE MACHINE)ですからね。正統派メタルリスナーやランディを妄信的に愛する方からは非難の嵐じゃないかな(苦笑)。ただ、個人的にはサージのボーカルにはオジー愛を感じたし、トムのギターもただコピーするんじゃなくて自分らしさを貫きながらランディのスタイルを表現しようとする強い意志も伝わりましたが、いかがでしょうか。

その後も、シンガーはオジーやケヴィン・ダブロウをコピーしつつ(ほとんどティム・リッパー・オーウェンズですが。笑)、ギタリストたちはランディの印象的なフレーズを随所に残しつつ、各々の個性を発揮させる。原曲レイプだ、けしからん!と怒る気持ちもわかりますが、だったらそもそもトリビュートアルバムだのカバーアルバムだの聴かないほうがいいし、これくらい遊んでくれるから聴きがいもあるわけで。個人的にはどれくらい原曲を“壊す”かが楽しみなわけで、そういう意味では本作は……ギターに関しては及第点だけど、それ以外のパートや楽曲アレンジに関しては普通すぎるかな。

そんな中、己を突き通しまくるチャック・ビリー(TESTAMENT)による「Mr. Crowley」が、サージ歌唱の「Crazy Train」並みによかったな。この曲では、今は亡きアレクシ・ライホ(G/BODOM AFTER MIDNIGHT、ex. CHILDREN OF BODOM)の泣きまくりギターも楽しめるので、なお良し。あと、ジョエル・ホーケストラ(G/WHITESNAKE)が頑張りまくりの「Killer Girls」も悪くなかったな。

逆に、実際にオジーバンドに在籍した経験を持つガス・G.(FIREWIND)による「Goodbye To Romance」や、ブラッド・ギルス(NIGHT RANGER)による「Suicide Solution」が、ランディ云々よりも自分らしさ全開なのが笑えます。特にガス・G.、君はやりすぎだ(笑)。

まあ、あれです。こういったカバーアルバムやトリビュートアルバムはマジになりすぎないのが一番。笑いながら「お、意外と良いじゃん」「いやいや、それはないでしょ」とかツッコミ入れつつ楽しむのが、精神衛生上もっとも好ましいと思います。

なお、本作はサブスクでも配信されていますが、2015年のCD/アナログ盤と曲順が若干異なっているのでご注意を(オリジナルの曲順はこのあたりでご確認いただけます)。

 


▼V.A.『IMMORTAL RANDY RHOADS - THE ULTIMATE TRIBUTE』
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2022年7月28日 (木)

BLACK SWAN『GENERATION MIND』(2022)

2022年4月8日にリリースされたBLACK SWANの2ndアルバム。

ロビン・マッコーリー(Vo/MICHAEL SCHENKER FEST、ex. McAULEY SCHENKER GROUP、ex. GRAND PRIXなど)、レブ・ビーチ(G/WINGERWHITESNAKEなど)、ジェフ・ピルソン(B/FOREIGNER、ex. DOKKENなど)、マット・スター(Dr/MR. BIGエース・フレーリーなど)というクラシックメタル界のスーパープレイヤーたちが一堂に会し、2020年に1stアルバム『SHAKE THE WORLD』を発表したBLACK SWAN。デビュー作はロビン、レブ、ジェフの3人を軸にしたもので、レコーディング直前にマットが参加するという形でしたが、今作は初めて4人が膝を突き合わせて制作したものになります。

前作リリース後の早い段階から続く2ndアルバムの制作準備に取り掛かっていたそうで、今作も再びジェフ・ピルソンのプロデュースのもと彼のプライベートスタジオでじっくりレコーディングに取り掛かったそうです。

楽曲やサウンド自体は前作の延長線上にあるもので、その完成度はより高いものへと昇華。この4人が過去に参加したバンドのサウンド……80年代のスタジアムロック/ハードロックを、2020年代のクオリティでまとめ上げたのがこのアルバムではないでしょうか。

ロビンもまもなく70歳とは思えないほどのパワフルさを見せており、「これぞハードロックシンガー!」という代表例のような歌唱を楽しむことができます。マット&ジェフのリズム隊もヘヴィ&タイトで、非常に躍動感の強いものとなっており、その上で縦横無尽に弾き倒すレブのギタープレイも圧巻の一言。4人に求める要素がバランス良く、ひとつの漏れなく凝縮された奇跡の1枚だと思います。

豪快なアメリカンハードロックを軸に、要所要所で適度な湿り気を感じさせる楽曲群も2作目とあってか、より焦点が絞れたような印象も。個人的には「Eagles Fly」みたいなシャッフルビートの楽曲、WINGERを彷彿とさせるイントロのギタープレイとカラッとしていながらも色彩豊かなリフワークが耳に残る「See You Cry」あたりは、次作への可能性を感じさせる良曲ではと思っています。

とにかくこのバンド、レブのギターリフが素晴らしい。もちろん、よくありがちなフレーズの組み合わせではあるんだけど、それでも耳に残るってことはセンスが抜群なんじゃないかな。ちょっとした工夫でここまでのものが作れるのは、これぞ職人技といったところでしょうか。さらに、メロディラインもなかなかのもので、このへんはロビン、あるいはジェフの手腕によるものが大きいのかな。

すべて80点台の高クオリティなので、あとは90点超えのキラーチューンの誕生を待つだけ。これが意外と大変なんですよね……でも、このバンドなら次のアルバムあたりで「BLACK SWANの代表曲」と誰もが納得する1曲を作ってくれるはず。その期待も込めて、(もし点数を付けるとしたら)本作には総合で90点を与えたいな。

 


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2022年5月15日 (日)

WHITESNAKE『GREATEST HITS 2022 - REVISITED - REMIXED - REMASTERED -』(2022)

2022年5月6日にデジタルリリースされたWHITESNAKEのグレイテストヒッツアルバム。フィジカル(CDおよびアナログ盤)の海外でのリリースは6月17日、日本でのCD発売は6月21日を予定。

本作は5月10日からスタートしたWHITESNAKEの“フェアウェル・ツアー”に先駆け発表された、いわゆる“黄金期”(=Geffen Records所属期)の楽曲をまとめたコンピレーションアルバム。もともと1994年に同タイトルおよび同企画のベスト盤が発表済みですが、今回はその収録内容を見直したほか、全曲リミックス/リマスタリングを施したほか、いわゆるシングル表題曲に関しては一部楽器パートの変更&新規録音が追加されるという、いわば「過去の楽曲を今風に作り直しましたよ」的編集盤なわけです。昨今のデラックスエディションや“Red, White & Blues Trilogy”コンピ盤と同じ方向性ですね。なので、ここでは1994年盤とは完全に別モノとして考えて、話を進めたいと思います。

デヴィッド・カヴァデール(Vo)によると、本作は「オリジナルの『GREATEST HITS』をさらに発展させた作品だ。80年代や90年代のサウンドのタイムカプセルを掘り起こし、すべての曲をサウンド面で最新なものにアップデートしたんだ。オリジナルの音源を聖なる遺物として考えてくれているファンのために、オリジナルアルバムはいつも通りそのままに残しておいたよ」とのこと。いやいや、オリジナルアルバムも曲順とかいじってますやん(苦笑)。

そのほか、プレスリリースによると「“Red, White & Blues Trilogy”でも新たなサウンドを付け加えてくれたキーボーディストのデレク・シェレニアンが今回も参加しており、ここに収録されている半数以上の楽曲に新たなハモンドオルガンの音色を付け加えてくれている。彼の熱いパフォーマンスは、No.1スマッシュヒット曲「Here I Go Again」や「Fool For Your Loving」「You're Gonna Break My Heart Again」といった楽曲で聴くことができる。1989年のアルバム『SLIP OF THE TONGUE』に収録されている「The Deeper The love」や「Judgement Day」といった楽曲では、エイドリアン・ヴァンデンバーグによる新たなギターパフォーマンスも収録されている」そうで、確かにシンセやオルガンがかなり新鮮に響くアレンジですし、『SLIP OF THE TONGUE』の楽曲におけるギターリフやバッキングプレイの“スティーヴ・ヴァイが弾くオリジナルテイクとの質感の違い”はこうした差し替えによる効果だったのだと気づかされます。エイドリアン、オリジナル音源収録時は腱鞘炎でレコーディングに参加できなかった無念をこういう形で果たすことになるとは、30数年前は考えもしなかったでしょうね。

また、「これらの新たに付け加えられた要素に加え、デイヴィッド・カヴァデールは貴重品保管室を掘り起こし、オリジナルレコーディング音源には入っていなかった、ギタリスト:ジョン・サイクスによるヴィンテージなパフォーマンスを初めて今回公開している。彼のその貴重なパフォーマンスは、「Slide it In」のソロパートや「Give Me All Your Love」のリズムギターパートで聴くことができる」そう。『SLIDE IT IN』(1984年)『WHITESNAKE』(1987年)の楽曲に関しては、ギターソロにもちょっとしたニュアンスの違い、もっと言ってしまえば“オリジナルのギターソロを別の人間がコピーした”ような違和感を覚えるんですよね……このへん、リミックスの影響なのかなという気もしますが、どうなんでしょう。

あ、もうひとつ。Rhino Records企画の編集盤とはいえ、最初はこの時代のベスト盤に『FOREVERMORE』(2011年)から1曲(タイトルトラック)を追加するのはいかがなものかと思いました。しかし、「Crying In The Rain」から続き、アルバムのエンディングというポジションにこの「Forevermore」が置かれるという構成自体は、聴いてみると意外と悪くないなとも感じ、結果オーライかな。とはいえ、取ってつけた感は否めませんが。

全体を通してドライなミックスが施されたことで、オリジナルテイクにあったアリーナロック級のダイナイックさが激減しており、それを“現代的”と前向きに捉えるか、あるいは“年齢とともにショボくなった”とネガティブに受け取るか……そのへんは聴き手に委ねます。僕自身は一長一短の仕上がりで、なんとも言えないかな。ただ、アルバムごとにプロデューサーやプレイヤーの異なるあの時期=80年代の楽曲(ついでに「Forevermore」も)を、統一感を求めて再構築したという点では、非常に聴きやすい1枚だとは思いました。

今後実現するのかどうか微妙な“フェアウェル・ツアー”日本公演を前に、たまに思い出したように再生することもあるのかな……そんな1枚です。

 


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2021年2月21日 (日)

JOEL HOEKSTRA'S 13『RUNNING GAMES』(2021)

2021年2月12日にリリースされたJOEL HOEKSTRA'S 13の2ndアルバム。日本盤は同年2月19日に発売。

その名の通り、JOEL HOEKSTRA'S 13は元NIGHT RANGER/現WHITESNAKEのジョエル・ホークストラ(G)によるソロプロジェクト。2015年に1作目『DYING TO LIVE』を発表しており、本作が約5年ぶりの新作となります。

前作ではラッセル・アレン(Vo/SYMPHONY X、ADRENALINE MOB)、ジェフ・スコット・ソート(Vo/SOTO、W.E.T.、SONS OF APOLLOなど)、ヴィニー・アピス(Dr/ex. BLACK SABBATH、ex. DIOなど)、トニー・フランクリン(B/ex. BLUE MURDER、ex. WHITESNAKEなど)が固定メンバーでしたが、今作ではそこに前作でのゲストメンバーだったデレク・シェリニアン(Key/BLACK COUNTRY COMMUNION、SONS OF APOLLO)を加えた編成にバージョンアップ。が、ジェフは今作ではリードボーカルではなくバック・ボーカルとしてクレジットされています(メインでまるまる1曲歌うようなことはありませんが、要所要所でジェフらしい歌声も聴こえてきます)。

実は僕、前作は聴いておりません。なので、ここは本作のみを聴いた率直な感想を書き残しておきたいと思います。

正直、ジョエルというギタリストに対する音楽的印象がほぼなく接したのですが(むしろ、NIGHT RANGERがいい感じに再浮上し始めた時期にWHITESNAKEに鞍替えしたことを根に持っており、ネガティブな印象が強かった)、オープニング「Finish Line」を聴いたときは「ああ、最近のWHITESNAKEにありそうな曲だな……『FLESH & BLOOD』(2019年)の元凶はお前か……っ!」と思ったものの、曲が進むにつれて……まあモダンなWHITESNAKE的な産業ロック調の楽曲もあるにはあるものの、それよりも本作の軸になっているのはいわゆる“メロハー(メロディックハードコア……じゃない、メロディックハードロック)”、それも欧州寄りの湿り気を残したメロハーなのかなと。4曲目「How Do You」あたりに到達して、そう感じました。

そうと気づいてからは、「Heart Attack」のような曲を聴いても「ああ、そういう北欧メロハーバンドいるよねー」と好意的に受け取ることができるように。人の印象っていい加減というか、自分の中で引っかかる点を見つけられたらあとは可能な限りポジティブに受け取ろうとするんですね、「ジョエル、本当はこういうのやりたいんだ……じゃあWHITESNAKEは出稼ぎみたいなもんか!」とか(後半は違うな)。すごく聴きやすい、良質なメロディアスハードロックをたっぷり楽しめる1枚ではないでしょうか。本当に悪い印象はないです、平均点以上の楽曲ばかりですし。聴いていて楽しいし。

でも、そこまでというのもまた事実。正直な話、「これ!」という90点超えのキラーチューンが1曲だけでもあれば、さらに良い印象なんだけど。全曲70〜80点前後。「Cried Enough For You」あたりはいい線行ってるんだけど、もう一歩なんだよなあ……もちろん、全編においてこれだけのクオリティを保てていること自体すごいことなんですけどね。ただ、加えてギタリストとしての個性も……うん。結局、ソングライターとして大成したいのか、ギタリストとして出世したいのか、そのどっちも中途半端な印象を受けてしまうんですね。だから、これだけ豪華なメンツを揃えていても、そこまでスペシャルな印象を受けない。すべてにおいて「あと一歩」と感じてしまう勿体なさ。そこだけが本当に残念です。

何も考えずに楽しむには申し分のない1枚。ただ、年間ベストクラスではないかな。好きな人にはたまらないと思いますが、僕はたまに聴くくらいで丁度よい佳作かなと。コンスタントに続けるのなら、次に期待したい。それくらいには注目を続けておきます。

(改めて読み返してみたけど、比較的ネガティブに受け取れますよね。でも、僕的にはかなりポジティブに受け取った1枚です。そもそも気に入らなかったら紹介してないですからね!)

 


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2021年2月20日 (土)

WHITESNAKE『THE BLUES ALBUM』(2021)

2021年2月19日にリリースされたWHITESNAKEの最新コンピレーションアルバム。

本作は昨年6月発売の『THE ROCK ALBUM』、11月発売の『LOVE SONGS』に続く、<Red, White and Blues Trilogy>と題した新編集によるベストアルバム三部作の最終章。Red=ラブソング、White=ロックアンセム、Blue=ブルースをテーマに選曲された楽曲群が、最新リマスター&リミックスにより新たな形に生まれ変わりまとめられています。

今作は文字通り、ブルース“寄り”の楽曲を集めたもの。WHITESNAKEでブルースナンバーといえば、それこそ70年代後半から80年代初頭の名盤たちからの楽曲を多数イメージするかと思いますが、そこは今のデヴィッド・カヴァーデイルのこと。本格的全米進出を果たす『SLIDE IT IN』(1984年)以降の作品からピックアップされた楽曲群のみで構成されており、初期の彼らに多少なりとも魅せられた身としては若干の肩透かしは否めません。

以下、収録曲の内訳です。

M-4:『SLIDE IT IN』(1984年)
M-3、13、14:『WHITESNAKE』(1987年)
M-4、6、12:『RESTLESS HEART』(1997年)
M-8:『INTO THE LIGHT』(2000年/ソロ)
M-10:『LIVE: IN THE SHADOW OF THE BLUES』(2006年)
M-2、7、11:『GOOD TO BE BAD』(2008年)
M-1、9:『FOREVERMORE』(2011年)

過去2作にあったようなアウトテイク(未発表曲)は今回皆無。『SLIP OF THE TONGUE』(1989年)からは1曲も選ばれていません。まあブルースっぽい曲、ほとんどなかったしね。入れるならせめて「Sailing Ships」かなと思ったんですけど、違ったようです(単純に収録容量の問題も大きいかと。本作は3作中もっとも少ない14曲ですが、トータルランニングは78分ありますし)。

「Give Me All Your Love」がブルースか?と問われると確かに疑問ですが、この曲をシンプルに演奏したら確かにブルースなんですよね。まあ、あの音がすべての元凶なわけなので、ここではその話題は置いておきます(苦笑)。また、個人的にはCOVERDALE・PAGEあたりからも1曲くらい選んでくれてもよかったのに、と思っていたのですが、そっちはそっちで間もなく30周年エディションの準備があるようなのでタマを残しておきたいのでしょう。

で、ザーッと通して聴いてみたのですが……ある程度納得できる、無難な戦局かなと。でも、『THE ROCK ALBUM』との違いってなんだろう?と。だって、先の「Give Me All Your Love」なんて『THE ROCK ALBUM』にも収録されているんですから、最初は何かの間違いかと思いましたよ。それ入れるんだったら、ほかにもセレクトすべき曲はあっただろ、と。「Too Many Tears」も被りっちゃあ被りですが、『LOVE SONGS』に収録されたのはカヴァーデイルのソロアルバム『INTO THE LIGHT』バージョンで、こっちは『RESTLESS HEART』バージョン。そこでカサ増しするほど曲が少ないわけじゃないでしょうに。もうちょっと3作購入する側のことも考えてほしかったな(まあ、そういうコンセプトなんだよ!と言われてしまったらそれまでですが)。

過去2作同様、今作でも録音の時代/環境/エンジニアが異なる音源を統一感の強いリミックスにより再構築。『WHITESNAKE』の音も『RESTLESS HEART』の音も、続けて聴いて違和感なく楽しめます。というか、『WHITESNAKE』のサウンドは数年前のリマスターバージョンよりも派手さが抑え気味で、個人的に好み。これはあれですかね、2000年代以降のアルバムに合わせた結果なんでしょうかね。「Steal Your Heart Away」や「If You Want Me」あたりを聴いて、そう感じました。

あと、個人的ツボはもうひとつ。終盤の4曲……「A Fool In Love」「Woman Trouble Blues」「Looking For Love」「Crying In The Rain」の流れが非常によかったこと。「A Fool In Love」はアレンジ的に「Crying In The Rain」の亜流と切り捨てることもできなくはないけど、アリーナロック期のWHITESNAKEによるブルースの解釈がよくわかる4曲ではないかと思いました。「Looking For Love」もブルースというよりはヘヴィバラードの類なんだけど、この並びで聴くと確かにブルースだなと納得させられます(フェードアウトしないエンディングも良し)。それと、肝心なのが「Crying In The Rain」。オープニングに付け加えられた音やシンセやオルガンを強調したミックス含め、どこか『SAINTS AND SINNERS』(1982年)収録のオリジナルバージョンへのオマージュが見え隠れします(ギターはジョン・サイクスのギターは相変わらずうるさいけど。笑)。

そんなわけで、三部作がこれですべて揃いました。この3枚を聴けばWHITESNAKEのすべてがわかる……わけではありません(苦笑)。世の中的なWHITESNAKEを知るにはこれでいいのかもしれませんが、真の意味でのWHITESNAKEを知りたければ、輸入盤で発売中の3枚組ベストアルバム『30TH ANNIVERSARY COLLECTION』(2008年)を手にすることをオススメして、このレビューを締めくくりたいと思います。

 


▼WHITESNAKE『THE BLUES ALBUM』
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2020年11月 9日 (月)

WHITESNAKE『LOVE SONGS』(2020)

2020年11月6日にリリースされたWHITESNAKEの最新コンピレーションアルバム。

本作は今年6月発売の『THE ROCK ALBUM』に続く、<Red, White and Blues Trilogy>と題した新編集によるベストアルバム三部作の第2弾。Red=ラブソング、White=ロックアンセム、Blue=ブルースをテーマに選曲された楽曲群が、リマスター&リミックスにより新たな形に生まれ変わりまとめられています。

第2弾の本作はRed=ラブソングということで、最初はバラードベストなのかな?と想像していたんですが、そういうことではないらしく、いろんな形のラブソングをまとめた(ってWHITESNAKEって基本ラブソングばかりですよね?)、スウィートな楽曲中心の1枚に仕上がっています。選曲範囲は『THE ROCK ALBUM』同様、『SLIDE IT IN』(1984年)以降のアルバム(デヴィッド・カヴァーデイルのソロアルバム『INTO THE LIGHT』含む)からセレクトされているので、アリーナロック調のビッグサウンドで統一感はかなり強いと思います。

以下、収録曲の内訳です。

M-6:『WHITESNAKE』(1987年)
M-2、10:『SLIP OF THE TONGUE』(1989年)
M-5、9:『RESTLESS HEART』(1997年)
M-4、11、12:『INTO THE LIGHT』(2000年/ソロ)
M-3、8:『GOOD TO BE BAD』(2008年)
M-1、13:『FOREVERMORE』(2011年)
M-7、14、15:未発表曲。『INTO THE LIGHT』アウトテイク

前作では最新アルバム『FLESH & BLOOD』(2019年)からのアウトテイクが1曲含まれていましたが、今回はソロ作『INTO THE LIGHT』からのアウトテイクが3曲も。意外と世に出ていない曲って多いんですね。あと、『SLIDE IT IN』から1曲も選ばれていないのが意外でした。

オープニングの「Love Will Set You Free」は意外な1曲でしたが(まあ、タイトルどおりラブソングですからね)、以降はミディアム/スローナンバー中心にセレクト。「Too Many Tears」は『RESTLESS HEART』バージョンではなくてソロのほうなんですね。

今回も原曲にはなかった音が加えられていたり、全体の音像を調整したりと、リミックスと称していろいろ手を加えた曲が多数存在します。耳馴染みの強い「The Deeper The Love」とか「Is This Love」とか、慣れないと驚きますよね(苦笑)。ただ、アルバムごとにエンジニアが異なることで生じたミックスやサウンドプロダクションのバラつきが、よい意味で解消されて統一感が増しているのは興味深いなと思いました。それを良しとするか否かは、聴き手によって大きく異なるでしょうが、僕は好意的に受け取っています。

気になる未発表曲ですが、M-7「With All Of My Heart」はブルージーなスローバラード。個人的には大好物だけど、この並びだと地味ですね。歌メロも変に間延びした感が強いし。M-14「Yours For The Asking」は若干アップテンポめのポップチューンで、M-15「Let's Talk It Over」は賛美歌のようなオルガンの音色が気持ち良いスローバラード。どっちもソロならではといったところでしょうか。落ち着いたトーンで歌っており、シャウトしまくってないところに好感が持てます。

今作のようなミディアム/スローナンバー中心のコンピ盤というと、過去には『UNZIPPED』(2018年)というアコースティック主体の作品との共通点も多数見受けられますが、僕としては今作のほうが好みかな。『THE ROCK ALBUM』はクドすぎたので(笑)、今回はしばらくリピートできそうな1枚だと思います。

 


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2020年6月25日 (木)

WHITESNAKE『THE ROCK ALBUM』(2020)

2020年6月中旬にリリースされた、WHITESNAKEの最新ベストアルバム。

このアルバムは<Red, White and Blues Trilogy>と名付けた、新編集によるベストアルバム三部作の第1弾。Red=ラブソング、White=ロックアンセム、Blue=ブルースをテーマに選曲された楽曲群が、リマスター&リミックスにより新たな形に生まれ変わりまとめられることになります。

とはいえこのベスト、選曲範囲に70年代から『SAINTS AND SINNERS』(1982年)までの“ブルースロック”期が省かれており(少なくとも『THE ROCK ALBUM』においては)、世界的ヒットを飛ばす先駆けとなる『SLIDE IT IN』(1984年)以降の“アリーナロック/メタル”期をベースに選曲されているのです。ああ、やっぱりそうか(苦笑)

まあ、気を取り直して。ですがこのアルバム、古くからのリスナーでも新鮮な気持ちで触れることができるのではないでしょうか。というのも、リミックス効果がかなりえげつないことになっているのです。

『SLIDE IT IN』や『WHITESNAKE』(1987年)『SLIP OF THE TONGUE』(1989年)という“Geffen三部作”はここ数年の再発でリマスター&リミックス効果を遺憾なく発揮してきましたが、このベスト盤収録に際しこれら3作からの楽曲も再びリミックスが施され、かつ近年の『GOOD TO BE BAD』(2008年)『FOREVERMORE』(2011年)からの楽曲と並んでも違和感ないようなミックスで揃えられている。つまり、よくベスト盤にありがちな「古い作品と近作の録音の差がありすぎて違和感を覚える」ことが皆無なんです。特に『WHITESNAKE』以降の作品はほぼ差がないと言ってもいいでしょう(つまりそれは、『WHITESNAKE』以降の作品は、同作の作風をなぞっているとも言えるわけですが)。

収録曲の内訳は以下のとおり。

M-4、5:『SLIDE IT IN』(1984年)
M-1、6、10:『WHITESNAKE』(1987年)
M-11:『SLIP OF THE TONGUE』(1989年)
M-8、9、13、14:『RESTLESS HEART』(1997年)
M-12:『INTO THE LIGHT』(2000年/ソロ)
M-2、7:『GOOD TO BE BAD』(2008年)
M-3、16:『FOREVERMORE』(2011年)
M-15:未発表曲。『FLESH & BLOOD』(2019年)アウトテイク

個人的収穫は、やはり『RESTLESS HEART』(1997年)からの楽曲が手軽に聴けるようになったことでしょうか。と同時に、そのリミックス効果もかなり興味深いものがあり、これくらい派手なほうが(今の)WHITESNAKEらしくて好印象を持てるんですよ。逆に、これを聴いちゃうと『GOOD TO BE BAD』以降の楽曲がちょっとキツく感じられる難点も見つかっちゃうわけですが。

デヴィッド・カヴァーデイルのソロ作『INTO THE LIGHT』(2002年)から選ばれた「She Give Me」も、この並びで聴くと悪くないですね。『RESTLESS HEART』からの流れで聴くと、これは全然アリな作品だなと再認識させられます。

あとは、『SLIP OF THE TONGUE』から唯一選ばれた「Judgement Day」の、スティーヴ・ヴァイ(G)の個性を完全に殺した(笑)シンプルなミックスも悪くない。きっとこの曲、本来はこういうアレンジにしたかったんじゃないか?と思わずにはいられません(でも、ヴァイらしい効果音がなくなったのは、ちょっとさみしくもあるんですが)。

唯一の新曲(未発表曲)となる「Always The Same」は、あの賛否両論な最新作『FLESH & BLOOD』(2019年)からのアウトテイクなのですが、この出来が非常に良くて。なぜこれを本編に入れなかった?と思わずにはいられません。あのアルバム、なんとなくですが『SLIP OF THE TONGUE』と同じ失敗をたどってしまっているような気がするんですが……。

まあとにかく。日本でのストリーミング未配信作である『RESTLESS HEART』や『INTO THE LIGHT』、『GOOD TO BE BAD』からの楽曲を聴くことができるという点において本作への評価はある程度高いものがあると思いますし、今後『RESTLESS HEART』もリマスター&リミックス・バージョンが発表されるのではないかという期待も高まります。

苦言を呈するならば、やはり70年代〜80年代初頭の楽曲を1、2曲でも入れてくれたら……と。それこそ、この時期の音源を含めたら、先に書いた“音質の違和感”問題が再燃することになるわけで、難しいところはあると思いますが、それでも「ベスト」と掲げるならば……ねえ? あとは、せっかくソロまで含めているのなら、COVERDALE・PAGEからも入れてほしかった(笑)。いやマジで。なので、『THE BLUES ALBUM』にはそのへんを期待したいと思います。

 


▼WHITESNAKE『THE ROCK ALBUM』
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2020年6月 9日 (火)

VANDENBERG『2020』(2020)

2020年5月下旬にリリースされたVANDENBERGの4thアルバム。

エイドリアン・ヴァンデンバーグ(G)は2010年代に入ってからVANDENBERG'S MOONKINGSをメインバンドとして、スタジオアルバム2枚とアコースティックアルバムを1枚発表しています。が、ここにきてVANDENBERG名義では『ALIBI』(1985年)以来35年ぶりの新作を完成させました。

しかし、参加メンバーはロニー・ロメロ(Vo/LORDS OF BLACKRAINBOW)、ルディ・サーゾ(B/ex. QUIET RIOT、ex. WHITESNAKEなど)、ブライアン・ティッシー(Dr/ex. PRIDE & GLORY、ex. WHITESNAKEなど)と、エイドリアン以外は80年代の編成とはまったく異なる布陣です。え、再結成とは?

しかも、アルバムで鳴らされている楽曲の大半が往年のVANDENBERG節とは異なる、MANIC EDENやVANDENBERG'S MOONKINGSにも通ずる ブルース・ハードロック路線。いや、VANDENBERGにそこは求めていないのでは……。

で、オープニングの「Shadows Of The Night」や続く「Freight Train」や「Hell And High Water」を聴いて思ったんです……これ、エイドリアンがWHITESNAKE時代にやりたかったことなんじゃないか、と。言ってしまえばこれ、『SLIP OF THE TONGUE』(1989年)の続編なんですよ。

ブルースベースのハードロックという曲調はもちろん、ロニーの歌唱スタイルや節回しも手伝ってデヴィッド・カヴァーデイルが歌っている姿が容易に想像できる楽曲群。しかも、バックを支えるのがルディ&ブライアンという、年代こそ異なるものの歴代のWHITESNAKE在籍メンバーなんですから……最初から何がやりたかったのか、明白ですよね。

ただね、楽曲の完成度は非常に高い。ぶっちゃけ、『SLIP OF THE TONGUE』で展開されたモダンなハードロック路線よりもWHITESNAKEらしいですし、もとはカヴァーデイルのソロアルバムとして制作された『RESTLESS HEART』(1997年)よりも「リスナーが求めるWHITESNAKE像」を具現化できている。しかも、それを実力派ミュージシャンたちと一緒に表現してるわけですから、悪いわけがない。ぶっちゃけ、本家の最新作『FLESH & BLOOD』(2019年)よりも「ファンが聴きたいWHITESNAKE像」を形にできていると思いますよ。

でもね。だからこそ不思議なんですよ。これをVANDENBERG名義で出そうと思った理由がわからない。申し訳程度にセルフカバーした「Burning Heart」の所在なさといったら……。大人の事情を感じずにいられません。

第3期DEEP PURPLEが演奏したらハマりそうな「Hell And High Water」や、RAINBOWのフロントマンであるロニーが歌うことで輝く「Ride Like The Wind」など、良曲揃いの本作。どの視点で本作に触れるかで評価は大きく異なるかもしれませんが、純粋に内容は素晴らしい1枚。この1月に66歳の誕生日を迎えたエイドリアンのギタープレイもキレと枯れが適度なバランスでミックスされており、彼が携わった近作の中でもベストワークだと思います。

ちなみにこの編成はアルバムレコーディングのみということで、ツアーにはエイドリアンとロニー、ランディ・ファン・デル・エルセン(B/TANK)、コーエン・ヘルフスト(Dr/EPICAツアーメンバー)という編成で挑むんだとか。このVANDENBERG'S MOONKINGSではなく、再びVANDENBERGを選んだ彼が、果たして再び成功することができるのか……。

 


▼VANDENBERG『2020』
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2020年3月11日 (水)

WHITESNAKE『SAINTS AND SINNERS』(1982)

1982年11月にリリースされたWHITESNAKEの5thアルバム。日本盤は1ヶ月遅れの同年12月に発表されました。

これまで1年間隔でアルバムを制作してきたWHITESNAKEですが、本作は過去最長の1年半という期間を要してファンの手元に届けられています。もちろん、半年なんて今の感覚で言えば誤差範囲ですし、デビューからここまで休みなく走り続けてきたバンドですから、これくらいの間隔ができても別に不思議ではありません。

しかし、前作『COME AN' GET IT』(1981年)のレビューに書いたようにバンドとしてのマンネリ化が始まっていたWHITESNAKE。バンマスのデヴィッド・カヴァーデイル(Vo)は本作制作に入る前、公私ともにかなりのプレッシャーに襲われていたとのこと。そういう不安を抱えたままスタジオ入りすると、今度はバンド内がギクシャクしていることにも気づく。最初のセッション時には長年のプロデューサーであるマーティン・バーチ(DEEP PURPLERAINBOWBLACK SABBATHIRON MAIDENなど)も不在。すべてが噛み合わない状況の中、スタジオを変えるなどして制作を続けるも、カヴァーデイル的にはお手上げ状態に。

結果、アルバムは無理くり完成させられます。楽曲は全10曲中、カヴァーデイル単独で書いた楽曲が4曲と前作と同じ流れ。ほかはバーニー・マースデン(G, Vo)との共作が2曲、ミッキー・ムーディ(G)との共作が3曲、バンドメンバー6人の名前がクレジットされた1曲という内訳です。これがすべてバンドの内部分裂に関係するのかは正直定かではありませんが、確かにカヴァーデイルが単独で書いた「Bloody Luxury」や「Victim Of Love」といった楽曲は比較的よくできているほうなんですよね。

もちろん、そのほかの楽曲も素晴らしいですよ。演奏も聴くぶんにはタイトさが伝わる、前作『COME AN' GET IT』の延長線上にある作風ですし。個人的には地味に感じた前作よりも、若干派手さが復調しているような印象も受けますし。それもあってか、全体的な作風としても次作『SLIDE IT IN』(1984年)に通ずる要素がところどころから感じられます。

また、本作には「Crying In The Rain」と「Here Go I Again」という、5年後に7thアルバム『WHITESNAKE』(1987年)でリメイクする突出した2曲を含むんでいることも大きなトピックかなと。混沌とした時期のアルバムながらも、こういった突き抜けた楽曲が収録されたことで救われているのも非常に大きいと思います。

本作完成後、バンドはカヴァーデイル、ムーディ、ジョン・ロード(Key)のレコーディング参加メンバーにメル・ギャレー(G, Vo/彼はレコーディングにもコーラスで参加)、コリン・ホッジキンソン(B)、そしてコージー・パウエル(Dr)という新たな編成へとシフト。「Here Go I Again」のMVはこの布陣で撮影されたものですね(アルバム裏ジャケなどに写っているのもこの6人です)。それもあって、アルバムにはレコーディングメンバーは記載されておりません。また、そんな不安定さは結果として、数字にも表れてしまいます。リードシングル「Here Go I Again」は全英34位、アルバム自体は全英9位と、どちらも前作から数字を落とす結果に。そんな複雑な時期の、本当に混沌とした本作は大きな括りでの第1期WHITESNAKE終焉をそのまま形として表した1枚なわけです。

なお、本作は2006年のリマスター化に際し3曲のボーナストラックを追加。「Young Blood」「Saint An' Sinners」の別テイクと、未発表曲「Soul Survivor」を楽しむことができます。「Soul Survivor」は歌が入っていない未完成なものなので、完全にオマケでしかありませんが……。

 


▼WHITESNAKE『SAINTS AND SINNERS』
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2020年3月10日 (火)

WHITESNAKE『COME AN' GET IT』(1981)

1981年4月に発表されたWHITESNAKEの4thアルバム。日本盤は同年6月後半からスタートする2度目のジャパンツアーの来日記念盤として、5月に発売されました。

2作目『LOVEHUNTER』(1979年)から7ヶ月という短いスパンで発表された前作『READY AN' WILLING』(1980年)は、リードシングル「Fool For Your Loving」のスマッシュヒット(全英13位)も手伝って最高6位を記録。その成功をフォローするかのように11ヶ月後に発表された本作は、「Don't Break My Heart Again」(全英17位)、「Would I Lie To You」(同37位)とシングルヒットを連発させたことで、アルバム自体も最高2位という高ランキングを残しています。

前作から加わったイアン・ペイス(Dr/ex. DEEP PURPLE)の影響もあってか、バンドアンサンブルがよりタイトに強化された印象を持つ本作。『READY AN' WILLING』で手に入れた成功が良い形で作用された、初期の最高峰といえる内容ではないでしょうか。

モロに女性器を表した蛇の舌に苦笑してしまうというジャケットを持つ本作。序盤の「Come An' Get It」や「Hot Stuff」こそ初期2作のおおらかさが再び感じられますが、そこにはいなたさが一切感じられず、むしろ洗練された印象を受けるほど。そこから前作の影響が大いに反映された「Don't Break My Heart Again」、このバンドらしい泣きのブルース要素が最大限に発揮された「Lonely Days, Lonely Nights」と最高の流れを見せ、WHITESNAKE流“Sex, Drug, Rock 'N' Roll”を体現した軽やかなロックンロール「Wine, Women An’ Song」へと続くアナログA面の流れは、本当によくできているなと感心します。

後半(アナログB面)はいぶし銀の渋みを感じさせる名曲「Child Of Babylon」からスタート。シングルカットもされたノリの良いロックチューン「Would I Lie To You」やドス黒いリズムセクションがひたすら気持ち良い「Girl」「Hit An' Run」と流れ、どことなく「Ain't Gonna Cry No More」に似た空気(と作風)の「Till The Day I Die」で締めくくり。なんとなく地味さが目立つ1枚ですが、ブルースやR&B/ソウルをハードなサウンドで表現するという初期WHITESNAKEのコンセプトはここでひとつの完成を見ることになります。

もちろん、穿った見方をすれば「前に似たような曲、なかったっけ?」というマンネリさも見え始めています。それはデヴィッド・カヴァーデイル(Vo)のバンマスとしての甘えだったのか、あるいはミッキー・ムーディ(G)やバーニー・マースデン(G, Vo)といったソングライターたちの“才能の限界”だったのか。これまでのアルバム4作中、カヴァーデイル単独制作楽曲が4曲と過去最多なのもそういった事象の表れだったのかもしれません。

なお、本作は2006年にリマスター化されており、その際にアルバム収録曲の別ミックスやバッキング・トラックなど6曲が追加されております。個人的には必聴とは言い切れない、オマケ以外の何ものでもないテイクですので、気になる人はぜひ……といったところでしょうか。

 


▼WHITESNAKE『COME AN' GET IT』
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