PAUL McCARTNEY FRESHEN UP JAPAN TOUR 2018@東京ドーム(2018年11月1日)
おそらくこれが最後の来日なんじゃないかという気もしているので、時間が経ったものの記録として残しておこうかなと。なので、ひっそりと載せておきます(笑)。
ポール・マッカートニーのライブを初めて観たのは、『OFF THE GROUND』(1993年)を携え行われた二度目の来日となった「THE NEW WORLD TOUR 1993」での東京ドーム。そこからしばらく時間が空いて、2010年代に入ってからは2013年以降毎回観てるんじゃないかな(中止となった2015年は日本武道館公演のチケットも確保していましたし)。なので、前回が2017年4月だから1年半ぶりと非常に有り難みがないわけでして。とはいえ、今回は5年ぶりの新作『EGYPT STATION』を引っさげてのツアーですし、それに……毎回毎回思うわけですが、「これが最後の来日かも……」と。特に2015年に体調不良で中止になって以来、その思いはより強いものになり、毎回行くかどうかギリギリまで悩みながらも、なんだかんだで足を運んでしまうという。完全に思うツボですね、はい。
そんなわけで、公演数日前にチケットを購入して東京ドーム2日目へ。年々チケットを買うタイミングがギリギリになっているので、当然座席も回を重ねるごとにステージからどんどん遠くなっていくという。今回なんて、完全なる点空席でしたからね。ま、そのおかげでじっくり座って楽しめたわけですが。
18時半スタートの予定が、なんだかんだで19時前後に会場暗転。ほぼ昨年のツアーと似たような演出のもと、ビートルズの「A Hard Day's Night」からライブはスタート。相変わらず、ライブ序盤の東京ドームは音が小さいな、なんて思いながらビール片手に名曲を堪能していくわけですが……頭4曲終わった時点で、ものすごい既視感に気づくわけです。
「あれ……前回とセトリ、まったく一緒じゃね?」
そうなんです。僕が昨年観た2017年4月28日の東京ドーム公演と、セットリストがほぼほぼ一緒だったのです頭4曲に関してはまったく同じ。そこに『EGYPT STATION』からの新曲を数曲散りばめつつ……ああ(苦笑)。今回のドーム初日はちょっとセトリが違ったようですが、個人的好みは今回のほうだったので結果オーライなんですが。まあ、良い曲、良いセトリはいつ何度観ても楽しいって結論でよろしいのではないでしょうか。
ポール御大の声はまあまあ出てるほう。そりゃあ5年前と比べたら確実に高音の伸びや深みが衰えているものの、それでもキーを下げることなく、ある曲ではベースで、ある曲ではエレキギター、ある曲ではアコギ、ある曲ではピアノ、ある曲ではウクレレと……どんだけエネルギッシュでアクティブな76歳だよ!とツッコミ入れつつ、名曲の数々をビール飲みながら味わいました。
「Got To Get You Into My Life」ではブラス隊がアリーナ客席内から登場したり(あれ、ブラスって前回いましたっけ? ちょっと記憶が曖昧)、お客をステージに上げたりと今回のツアーならではの演出もあり。それでも、基本的には前回と一緒。ジミヘンパートも、ジョージ・ハリスンパート(「Something」)もまったく同じで、新鮮味はやっぱり皆無。でも、ビートルズ曲もポールのソロもWINGSナンバーも30年以上何十回、何百回とリピートしてきたものなのに、やっぱり生で聴くと印象が変わってくるんだから不思議です。
そんな僕ですが、やっぱり「Band On The Run」や「Back In The U.S.S.R.」が始まればテンションが上がるし、もはやガンズの持ちネタと化している「Live And Let Die」を聴けば一緒に歌うし、ベタだと思いつつも「Let It Be」や「Hey Jude」には涙腺が緩む。これはもう業みたいなものです。
そして、アンコール。久しぶりに聴く「I Saw Her Standing There」はやっぱりカッコいいし、「Helter Skelter」でのポールのシャウトには鳥肌が立った。で、「Golden Slumbers」「Carry That Weight」「The End」とおなじみのクライマックス。もはや有り難みすら感じなくなったこのエンディングも、やっぱり生で観たらジワジワくるから不思議。これはもう、DNAレベルで感動することが刷り込まれているんでしょうね。だったら仕方ない。
ライブ中盤で披露された「From Me To You」にはさすがにグッと来ましたし(そこから続く、前回も演奏した「Love Me Do」もしかり)、「Maybe I'm Amazed」は何度聴こうが色褪せることのない名曲中の名曲だし。そういったロック/ポップスの50年史を今もこうやって生で楽しめるのは、なんだかんだで幸せ以外の何者でもないわけです。また来年も来日するんじゃないかとか、毎回一緒なのに劣化したポールに2万近く払うのはいかがなものかとか、いろいろ意見があるのもわかります。けど、それでも足を運んでしまうのは、なんと言おうと業なのです。だから、毎回毎回「これが最後」と思いながらも高いチケット代を払って、会場でビールを飲みながら歌い楽しむ。そういう接し方が自分には合っているのかなと。
それともうひとつ。これは完全に個人的事情ですが、自分は数年前に耳を患い、その際ビートルズが雑音にしか聞こえず「これはもうライター引退なのかな……」と本気で泣いたことがありました。それを思えば、こうやって来日のたびにライブに足を運べるのはラッキーなことだし、「人生みっけもん」だなと。「ああ、まだこの曲で感動できるんだ」と確認しに東京ドームまで足を運んでいる気すらします。この気持ちだけは絶対に忘れたくないな。そういう意味では、現在のスタンスの原点を確認しにいく作業の一環でもあるのかもしれません。
[SETLIST]
01. A Hard Day's Night
02. Junior's Farm
03. Can't Buy Me Love
04. Letting Go
05. Who Cares
06. Got To Get You Into My Life
07. Come On To Me
08. Let Me Roll It
09. I've Got A Feeling
10. Let 'Em In
11. My Valentine
12. 1985
13. Maybe I'm Amazed
14. We Can Work It Out
15. In Spite Of All the Danger
16. From Me To You
17. Love Me Do
18. Blackbird
19. Here Today
20. Queenie Eye
21. Lady Madonna
22. Eleanor Rigby
23. Fuh You
24. Being For The Benefit Of Mr. Kite!
25. Something
26. Ob-La-Di, Ob-La-Da
27. Band On The Run
28. Back In The U.S.S.R.
29. Let It Be
30. Live And Let Die
31. Hey Jude
<ENCORE>
32. I Saw Her Standing There
33. Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise)
34. Helter Skelter
35. Golden Slumbers
36. Carry That Weight
37. The End