2019年3月12日 (火)

「#平成の30枚」

Twitterのハッシュタグでよく目にする「#平成の30枚」という企画。これ、面白いですね。30年を30枚のアルバムで紹介するというのは、いろんな側面があると思うんですよ。一般的な名盤なのか、その年バカ売れしたものなのか、あるいはもっと私的な選出なのか。でも、そのどれを取ってもいろいろ見えてくるものがある。30枚くらいだからちょうどいいんでしょうね。これが昭和だったら……無理か(苦笑)。

ということで、こういうのに便乗するのが好きな私としては、とりあえず記録として残しておこうと。ただ、普通にTwitter上に残すのは違うよね、せっかくならこっちだよねってことで、無理くり1989年から2018年までの30年をすごい勢いで振り返ってみました。平成元年(1989年)っていうと、自分が高2〜高3の時期。音楽的にも多感だった10代後半の終盤ですね。特に90年代半ばまでは思い出深い作品がたくさんあるだけに1年1枚縛りはなかなかキツイものがありますが……あえて自分内でルールを作って選出しました。

① 同じアーティストのアルバムは複数枚選ばない(バンド/ソロは例外とする)
② 可能な限り今の自分の直感に従う(過去BEST OF企画の年間1位に選んだとしても今回も選ぶとは限らない。今の感覚で選ぶ)
③ 2枚同時発売など連作となっているものは例外として2枚選出も可(ガンズとかラルクみたいなね。ガンズは関係ないけど)

以上、これだけを守って選んだら……やっぱりキツかった(笑)。さて、個人的な思い入れ乱れまくりの30枚、ぜひご堪能あれ。


平成元年(1989年)
X『BLUE BLOOD』(Spotify

平成2年(1990年)
ユニコーン『ケダモノの嵐』(Spotify

平成3年(1991年)
BUCK-TICK『狂った太陽』(Spotify

平成4年(1992年)
佐野元春『sweet16』(Spotify

平成5年(1993年)
LUNA SEA『EDEN』(Spotify

平成6年(1994年)
THE YELLOW MONKEY『jaguar hard pain』(Spotify

平成7年(1995年)
スピッツ『ハチミツ』

平成8年(1996年)
Mr.Children『深海』(Spotify

平成9年(1997年)
中村一義『金字塔』(Spotify

平成10年(1998年)
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『ギヤ・ブルース』(Spotify

平成11年(1999年)
Hi-STANDARD『MAKING THE ROAD』

平成12年(2000年)
エレファントカシマシ『GOOD MORNING』(Spotify

平成13年(2001年)
SOUL FLOWER UNION『SCREWBALL COMEDY』

平成14年(2002年)
ナンバーガール『NUM-HEAVYMETALLIC』(Spotify

平成15年(2003年)
Theピーズ『Theピーズ』(Spotify

平成16年(2004年)
フラワーカンパニーズ『世田谷夜明け前』(Spotify

平成17年(2005年)
銀杏BOYZ『君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命』(Spotify)、『DOOR』(Spotify

平成18年(2006年)
ザ・クロマニヨンズ『ザ・クロマニヨンズ』

平成19年(2007年)
L'Arc-en-Ciel『KISS』

平成20年(2008年)
Perfume『GAME』

平成21年(2009年)
DEAD END『METAMORPHOSIS』

平成22年(2010年)
凛として時雨『still a Sigure virgin?』(Spotify

平成23年(2011年)
OGRE YOU ASSHOLE『homely』(Spotify

平成24年(2012年)
Ken Yokoyama『Best Wishes』

平成25年(2013年)
ももいろクローバーZ『5TH DIMENSION』(Spotify

平成26年(2014年)
BABYMETAL『BABYMETAL』(Spotify

平成27年(2015年)
星野源『YELLOW DANCER』

平成28年(2016年)
BOOM BOOM SATELLITES『LAY YOUR HANDS ON ME』(Spotify

平成29年(2017年)
ONE OK ROCK『Ambitions』(Spotify

平成30年(2018年)
Maison book girl『yume』(Spotify


以上、30枚。「そのアーティストがそのアルバム?」っていうやつ、たくさんあると思います。LUNA SEAは『MOTHER』(1994年)じゃないの?とか、THE YELLOW MONKEYは『SICKS』(1997年)じゃなくていいの?とか、星野源は最新の『POP VIRUS』(2018年)だろ?とか。わかります、その気持ち。でも、「あの年にあれが入るとそれは入れられないよね」とか「世の中的にこっちのほうが評価高いんだろうけど好きなのはあっちなんだよね」とか、そういう理由も含まれていますので、ご了承ください。

にしても、やっぱり偏ってるなあ(笑)。わかってはいたけど、こういう結果になりますよね。我ながらも清々しいくらいに納得できるものになりました。だいたいどのアルバムも、その年に聴きまくったもの、あるいは今でもよく聴く作品ばかりだもんなあ。そんな中で、2000年代半ば前後から後半にかけての一時期が、自分の中で非常に曖昧なことに気づきました。このサイトを一番やってた時期から前職で音楽の仕事に就いた頃だから、記事的にはいろいろ聴いていたはずなんだけど……で、気づくわけです。「あ、この頃ってハロプロばっか聴いてたからだ!」と(笑)。

ハロプロ。悩みました。どれか1枚入れるべきだろうと。ももクロやベビメタを入れているわけですし、個人史的にも絶対に必要だろうと。ただ、「今の視点」となると、また違うんですよね。残念ながら。そういう意味では、2010年にAKB48の『神曲たち』も入れるべきか悩みましたが、こちらも選外に。ただ、そのへんも考慮には入っていたことはご理解いただきたいです。

だって、いきなり元年からRED WARRIORSの『SWINGIN' DAZE』を外す羽目になるし。けど、今の感覚的にはやっぱり『BLUE BLOOD』だしなあ。難しいですね。

あと「この人たちの作品、サブスクで配信されてないのね」とか「この時期の作品だけ配信されてないのかよ」とか、新たな気づきもありました。いろんな事情もあるでしょうから深くは追求しません。けど、勿体ないな、と。

一応「平成」ってことで邦楽縛りで選出しましたが、これ洋楽編を作ったらどうなるんでしょうね……我ながら、ちょっと気になります。なので、続く……かも(笑)。

投稿: 2019 03 12 12:30 午前 [BABYMETAL, BOOM BOOM SATELLITES, BUCK-TICK, DEAD END, Hi-STANDARD, Ken Yokoyama, L'Arc-en-Ciel, LUNA SEA, Maison book girl, Mr.Children, OGRE YOU ASSHOLE, ONE OK ROCK, Perfume, Soul Flower Union, THEE MICHELLE GUN ELEPHANT, X JAPAN, YELLOW MONKEY, THE, 「平成の30枚」, ももいろクローバーZ, エレファントカシマシ, ザ・クロマニヨンズ, スピッツ, ナンバーガール, ピーズ, The, フラワーカンパニーズ, ユニコーン, 中村一義, 佐野元春, 凛として時雨, 星野源, 銀杏BOYZ] | 固定リンク

2018年2月 1日 (木)

V.A.『KISS MY ASS: CLASSIC KISS REGROOVED』(1994)

1994年6月にリリースされた、KISSのトリビュートアルバム。ちょうどKISS結成20周年を記念して、当時のメンバーも制作に携わった1枚で、レニー・クラヴィッツガース・ブルックスANTHRAXGIN BLOSSOMSTOAD THE WET SPROCKETDINOSAUR JR.EXTREMETHE LEMONHEADSTHE MIGHTY MIGHTY BOSSTONESといったメタル/オルタナ/カントリーなどKISSに影響を受けた幅広いジャンルのアーティストに加え、ここ日本からもYOSHIKI(X JAPAN)が参加。さらに、メイナード・キーナン(TOOL)、トム・モレロ&ブラッド・ウィルク(RAGE AGAINST THE MACHINE)、ビリー・グールド(FAITH NO MORE)からなるスペシャルユニットSHANDI'S ADDICTION(JANE'S ADDICITONをKISSの楽曲「Shandi」にひっかけてもじったもの)まで参加しております。

まあKISS愛に溢れた……というよりは、各アーティストが平常運転でKISSの楽曲をカバーしたといったほうが正しいのかもしれませんね。だって、1曲目の「Deuce」からレニー・クラヴィッツ、直球勝負でカバーしつつも彼らしく味付けしてますから。ちなみにこの曲、ハーモニカでスティーヴィー・ワンダーもゲスト参加してます。

かと思えば、KISSご本家が演奏で加わったガース・ブルックス「Hard Luck Woman」は、カバーというよりもコピー。本家がいつもどおりに演奏して、ポール・スタンレーがハーモニーで加わっているんだから、そりゃあ“まんま”になっても仕方ないですよね(笑)。ANTHRAXの「She」も平常運転、というか途中まで“まんま”すぎて、後半に彼らならではのこだわりのアレンジが加わるという。この時期の彼らは、ボーカルがジョン・ブッシュ時代なので、こういったジーン・シモンズ色の強い曲はピッタリですね。

そういえば、1994年というとグランジブーム末期というタイミングで、KISSから影響を受けたと公言するグランジバンドも少なくありませんでした。そういうこともあって、GIN BLOSSOMS、TOAD THE WET SPROCKET、DINOSAUR JR.あたりのグランジ/オルタナロックバンドのKISSカバーは良い味を醸し出しています。GIN BLOSSOMS「Christine Sixteen」こそストレートなカバーですが、TOAD THE WET SPROCKET「Rock And Roll All Nite」のアコースティックスローカバー、DINOSAUR JR.「Goin' Blind」のヘヴィで泣きまくり、かつ脱力系なカバーは完璧すぎるほどの素晴らしい仕上がり。1994年という時代感を見事に反映した、本作の中でもベストテイクと言えるでしょう。

そして、本作中もっとも異色のカバーがSHANDI'S ADDICTION「Calling Dr. Love」。トム・モレロの変態ギターを存分に活かしたテイクで、参加メンバーの各バンドの個性が見事に反映されたアレンジは、最高の一言。のちのヘヴィロック/ラウドロック一大革命を先取った1曲と言えるかもしれません。

その他にも、EXTREMEらしくファンクロック的“ハネた”ミディアムナンバーへと昇華させた「Strutter」、あの有名なツインリードギターをブラスで再現した爆笑モノのTHE MIGHTY MIGHTY BOSSTONES「Detroit Rock City」、いかにもYOSHIKI、というかまんまX JAPANな「Black Diamond」のオーケストラバージョン、ボーナストラックとして追加されたドイツのバンドDIE ÄRZTEの「Unholy」ドイツ語カバー(途中でディスコな“あの曲”も飛び出したり)など、聴きどころ満載。トリビュートアルバムとしては、かなり力の入った1枚ではないでしょうか。そりゃまあ、アーティスト本人が尽力してるんだもんね。

ちなみに本作、今のようにKISSがメイク時代に戻る前の作品ながらも、全米19位まで上昇。50万枚を超えるヒット作となりました。今思えば、このへんの成功が数年後のオリメン&メイク復活の布石になったんでしょうね。

なお、本作はストリーミング配信はおろか、デジタル配信自体が行われておりません。勿体ないったらありゃしない。



▼V.A.『KISS MY ASS: CLASSIC KISS REGROOVED』
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投稿: 2018 02 01 12:00 午前 [1994年の作品, Anthrax, Compilation Album, Dinosaur Jr., Extreme, Faith No More, Garth Brooks, Gin Blossoms, KISS, Lemonheads, the, Lenny Kravitz, Mighty Mighty Bosstones, the, Rage against the Machine, Toad the Wet Sprocket, Tool, X JAPAN] | 固定リンク

2005年8月16日 (火)

LOUDNESS『ONCE AND FOR ALL』(1994)

1992年に『LOUDNESS』を発表後、2度にわたる全国ツアーを実施して大成功を収めた第3期LOUDNESSですが、翌年になるとMASAKI(Vo)が脱退する・しないで揉めに揉め、痺れを切らしたTAIJI(B)がバンドを離れることに。結局MASAKIはバンドに復帰し、結果として第3期は短命で終わることになります。

そんな彼らの貴重なライブ音源が、1994年春に突如リリース。全10曲とCD主流時代にしては非常にコンパクトなものですが、そのへんからも「契約上出さねばならぬ」などのやっつけぶりが感じられます。

アルバムの大半は当然『LOUDNESS』収録曲なので、あの作品が気に入っている人なら間違いなく楽しめる1枚。ただ、このライブ盤が本当に面白いところは、MASAKIが「Crazy Doctor」や「S.D.I」といったLOUDNESSの代表曲を歌う以上に、LOUDNESSがE.Z.O.の「House Of 1,000 Pleasures」をプレイしてるという事実ではないでしょうか。歌や演奏は粗いけど、それ以上の価値はある内容だと思います。



▼LOUDNESS『ONCE AND FOR ALL』
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投稿: 2005 08 16 03:00 午前 [1994年の作品, E・Z・O, Loudness, X JAPAN] | 固定リンク

LOUDNESS『LOUDNESS』(1992)

1991年夏のUSツアー後にマイク・ヴェッセーラ(Vo)がバンドを脱退(というか半ばクビ)、さらにオリジナルメンバーである山下昌良(B)まで脱退し窮地に立たされるも、新たなシンガーとして元E.Z.O.のMASAKIが加入。さらに、X JAPANを脱退したばかりのTAIJI(B)まで加わるという、ある意味過去最高の豪華なメンツとなった第3期LOUDNESSによる唯一のオリジナルアルバム。

サウンド的には従来のLOUDNESSというよりも、MASAKIのおどろおどろしいボーカルのせいもあってE.Z.O.に近い気が。TAIJIが加入したとはいえX的要素は皆無で、むしろ当時主流となりつつあったモダンヘヴィネス系を追った新境地的作品に仕上げられています。

正直、80年代のLOUDNESSが好きなリスナーには複雑な印象を与える1枚かもしれません。しかし、セールス的には彼らのキャリア中もっとも売れた1枚でもあります。歯がゆい。

ただ、「LOUDNESSであることを無視すれば」非常に良くできたラウドロック/メタルアルバムではないかと。高崎晃(G)とTAIJIのインタープレイも素晴らしいし、ラストを飾るファストチューン「Firestorm」なんてスラッシュメタル真っ青な出来ですし。この編成でもう1枚くらい作ってほしかった気もするけど、この危うさや緊張感があったからこんな奇跡的な1枚を作ることができたのかな。

海外の新たな潮流をこんなにも意識した作品なのに、本作から活動の場をドメスティックに固定。アメリカで発売されたのは、ここから13年たった2005年だったというのは、不幸以外の何ものでもありませんね。



▼LOUDNESS『LOUDNESS』
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投稿: 2005 08 16 02:30 午前 [1992年の作品, E・Z・O, Loudness, X JAPAN] | 固定リンク

1999年5月 2日 (日)

『hide TRIBUTE : SPIRITS』(1999)

  1998年5月2日。まだ1年しか経っていないのか‥‥hideがこの世を去ってから。たった1年。もう1年。人によっていろいろ違うのだろう。hideの不在がもたらしたものって一体なんだったのだろう、とこのトリビュート・アルバムを聴きながら考えてみた。答えはまだ見つからない。みんなはもう見つかったかい?
  このトリビュート・アルバムには、hideの身近にいた人間、hideに影響を受けた人間、hideとは接点がなかった人間と、いろいろ参加している。それぞれがそれぞれの解釈でhideの楽曲をカヴァーしている。今回は久し振りの「全曲解説」を通して、それぞれのアーティストの解釈についていろいろ感想を述べてみたいと思う。最後までお付き合い願いたい。

M-1. 布袋寅泰「ROCKET DIVE」(from ALBUM 「Ja,Zoo」)
  「HOTEI」ではなく、「布袋寅泰」として発表したこの曲。ハマリ過ぎ。(爆)布袋の為に作られたような名曲だな、これ。最初に布袋がこの「ROCKET DIVE」を選んだことを知った時、爆笑した。「自分の事がよく判ってるじゃん♪」って。ただ、実際に出来上がったアレンジは、ちょっと考え過ぎの部分もあるかな?と思ったのも事実。が、あえて打ち込み中心の「布袋流テクノ・ロック」に仕上げたのには‥‥やっぱり(笑)
  布袋自身はhideとは交流がなかったようだが、自分とhideとの共通項をうまいこと見つけたな、というのが正直な感想。バンド出身、解散後ソロアーティスト、ギタリスト兼ボーカリスト、時代に敏感、よき兄貴分‥‥等々共通点はいくらでもある。だけど布袋は布袋、hideはhide。全く違うアーティストだ。なのに‥‥不思議だ。これこそ「名カヴァー」と言えるのではないだろうか?

M-2. 清春・SHOJI「Beauty & Stupid」(from ALBUM「PSYENCE」)
  元「黒夢」のボーカル、清春の解散後初の仕事がこれ。清春自身もhideとは交流はなかったそうだ。聴く限りでは原曲に忠実な出来。リズムは打ち込みなんだね? あくまで「ロックンロール」にこだわる(?)清春らしからぬアレンジかな?と最初は思ったのだけど‥‥まぁアリ、かな? でも、「カヴァー」というよりは「コピー」に近いような‥‥原曲ではhideの癖の強い唄い方が特徴だったこの曲も清春が唄う事によって、幾分「黒夢」っぽいイメージを与えてくれる。何故彼がこの曲を選んだのか(あるいは与えられたのかもしれない)、彼がこの曲を通して何を伝えたいか?が全く伝わってこない。トリビュートは故人のよいところを新たな解釈で伝えるのがひとつの目的なわけで、これではただ「僕、ソロになったんで、手始めに他人の曲から始めてみました」と取られる可能性もあるわけだ。実際はどうだか知らないが‥‥

M-3. kyo & TETSU「TELL ME」(from ALBUM 「HIDE YOUR FACE」)
  hideとはSABER TIGER時代一緒だったkyoがボーカルを取るこの曲、イントロの走りぎみなTETSUのドラムが印象的。これも基本的には「コピー」だが、kyoが一音一句をとても丁寧に、心を込めて唄っているのが伝わってくる好演だと思う。こういう「元メンバー」といった身内の人間がカヴァーする場合、感傷的になってポシャって終わる事も考えられるのだけど、やはり昨年末のSpread Beaverとの共演が先にあったからよかったのかもしれない。(ちなみにその時、kyoは「Beauty & Stupid」を唄っている)

M-4. SIAM SHADE「ピンクスパイダー」(from ALBUM 「Ja,Zoo」)
  彼等はhideというより、LUNA SEA側の人間なわけで、やはりhideとの直接交流はなかったようだ。それにしても‥‥ファンには悪いが、このアルバム中最悪のケースだと思う。最も悪い「カヴァー/トリビュート参加」のケース。まず、この録音の悪さはどうにかならなかったのだろうか? スタジオ・デモ並である。この程度の録音、現在ならアマチュアでも可能だ。それからロックらしからぬミックス。ボーカルが前に出てリズムが引っ込んでるパターン。歌謡曲じゃないんだから。
  録音技術の事ばかりではない。完全に「コピー」だ、これでは。唯一、ギターが好き放題暴れているといった程度。今回の各曲のクレジットを見て思った事は、今までプロデューサーを立てて作品を作ってきたバンド(GLAY, SIAM SHADEなど)がセルフ・プロデュースを行っている事‥‥つまり、「たった1曲に金かけて(プロデューサーに払う金)らんないでしょ?君らでどうにかしなさい♪」とでもレコード会社から言われたのか? にしても‥‥これは最悪。自分らの曲より酷いよ。ボーカルも自身の曲だと生き生きしてるのに、ここじゃ‥‥と俺は感じたのです。

M-5. shame「LEMONed I Scream」(from ALBUM「PSYENCE」)
  このバンドに関して僕はそれ程知識がないが、hideが主催するレーベル「LEMONed」のバンドだそうだ。ということは、hideが見つけてきたって事? アルバム内のアーティストのコメントを見る限りでは、そう取れるのだけど‥‥いいんじゃない? このアルバムからは唯一の英語曲だけど、気負ってなくていい仕上がりだと思おう。原曲にあった浮遊感・アップテンポ感を、ネオアコっぽい始まり~徐々に盛り上がる持ってき方へとアレンジしたのは正解かも。おそらくこれがこのバンドの色なのだろう。ちょっとオリジナルアルバムの方も聴いてみたくなった。本来カヴァーソングってそういう効力を持ったものなのでは?

M-6. CORNELIUS「ピンクスパイダー」(from ALBUM 「Ja,Zoo」)
  この組み合わせが一番難解かつ厄介だった。(爆)hideと小山田くんとの接点が‥‥まぁ面白い仕事するとは思ってたけど、ここまでやってしまうとは‥‥小山田が参加すると知った時点で、俺は2通りのパターンを考えた。ひとつは「バンドで演奏して、滅茶苦茶に解体するカヴァー」、もうひとつが最近依頼の多い「解体かつリミックス」作業‥‥前者なら、「69/96」アルバムで見せたハードロックへのアプローチが再び見れたのかもしれない。でも、そこは小山田。結局は後者を取ったわけだ。(笑)彼らしい手段だと思う。
  で、これがまた傑作。このアルバム中、確かに異色の出来だが、本来ここまでやらなくてはならないのでは? hideに対する敬意を込めつつ、自分の色を出す‥‥hideの癖の強い楽曲を前にこれすら忘れてしまうアーティストも多いのでは? しかし布袋といい小山田といい‥‥ソロアーティストの方が動きやすいのかもしれない。自身のイメージもひとつというわけではないしね。(バンドだとそうもいかない場合もあるしね)敢えて唄わなかったのも正解かも。しかし‥‥小山田に「ピンクスパイダー」って言葉、合ってない?(笑)

M-7. ZEPPET STORE「FLAME」(from ALBUM「PSYENCE」)
  hide自身が生前「この曲はZEPPET STOREに影響されて書いた曲だ」と言っていたのが印象的なナンバーを、当の御本家ZEPPET STOREがカヴァーすることになるとは。しかもこういう形で‥‥原曲はZEPPET STOREっぽいリズミカルでヘヴィーで繊細な曲を、彼等は違った解釈でカヴァーした。原曲のまま再現してもZEPPET STOREらしい曲には仕上がっただろうが、「それじゃhideが許してくれないだろう」と感じたのか、今現在のZEPPET STOREらしいアレンジで挑んできた。アコースティックギターを軸にして、大陸的な大きなノリ‥‥このまま彼等のオリジナルアルバムに入っていても何ら違和感がない出来だ。原曲に助けられてる部分も多少あるが、それでもここまで説得力があるのは、やはり彼等ZEPPET STOREの底力ではないだろうか? 個人的には、昨年末のSpread Beaverで聴かせてくれたあのピアノアレンジをもう一度聴きたいなぁ‥‥

M-8. LUNA SEA「SCANNER」(from ALBUM 「HIDE YOUR FACE」)
  hideとLUNA SEA(いや、JとSUGIZOと言った方がいいか?)との関係は今さらここで語ることもないだろう。よき兄貴分、よきライバルとして彼等をお互いを意識していたようだ。そして彼等は「無言で」このアルバムに挑んだ(彼等のみ、ライナーノーツにはコメントを載せていない)‥‥「Let the music do the talking」って事だろうか‥‥
  やはりLUNA SEAのカヴァーを聴いても感じる事だが、実力・オリジナリティーを既に持ち合わせたアーティストというのは、誰の曲をカヴァーしても「自分達の曲」にねじ曲げてしまう力量を持っているな、という事。長く活動してればいい、って訳じゃない。結局はいかに「myself」でいられるか‥‥このアレンジなんて、LUNA SEAのオリジナルと言われても信じてしまうんじゃないだろうか? 近年の彼等らしい曲調だし(歌詞はともかく;笑)‥‥が、後半のアップテンポになる展開‥‥久し振りにこんなに激しいLUNA SEAを聴いた気がする。改めてLUNA SEAに惚れ直した。(笑)

M-9. BUCK-TICK「DOUBT '99」(from ALBUM 「Ja,Zoo」)
  hideとBUCK-TICK‥‥繋がりそうで繋がらない。まぁXとBUCK-TICK、と考えればなんとなく繋がるが。布袋同様、まさにハマりまくった選曲・名カヴァーではないか? BUCK-TICKは最近の所謂「ヴィジュアル系」ファンにはそれ程好かれてはいないようだが、LUNA SEA同様ゴス(ゴシック系バンド。BAUHAUSや初期のTHE CURE, JAPANなどがこう呼ばれた。最近ではMARILYN MANSONなども再びこう呼ばれているようだが)に影響を受けたバンドとして、彼等こそが真の意味での「ヴィジュアル系」であり「オルタナ」ではないだろうか? しかしなぁ‥‥「人間ドラムンベース」(笑)‥‥どこまでこの路線を続けるのかが興味深い。

M-10. TRANSTIC NERVE「ever free」(from ALBUM 「Ja,Zoo」)
  確かhideが生前、最後に関わったのがこのバンドだと聞いている。hideとは会った事がなかったようだが‥‥新手のヴィジュアル系、というわけでもなさそうだ。オリジナル作ではラルクを手掛ける岡野ハジメ氏をプロデューサーに迎えているようだが、このカヴァーは自分達で手掛けている。このアルバムに参加してるアーティストの中では最もキャリアが短いだけに、一体どういう解釈で挑んでくるのかが気になったが‥‥これから、といったとこだろうか? 原曲のストレートさをそのままに、音数を多くし、一部16ビートを持ち込んでいる、という至極そつないアレンジだ。新人という事を差し引いて‥‥今後に期待、というところだろうか? だが、改めて「影響を受けたフォロワー」としてのカヴァーが聴きたかった。(本人達はそのつもりかもしれないが、俺にはそれは伝わらなかった。ハードルが高すぎたのか?)

M-11. OBLIVION DUST「限界破裂」(from ALBUM「PSYENCE」)
  Spread Beaverにも参加したギタリストKAZが所属するバンド。元がかなりオルタナ色の強いバンドなだけに、どういう選曲でどういうアレンジになるのかが気になるところだった。選んだのは「限界破裂」。原曲はアップテンポのhideらしい曲だが、オブリのアレンジが‥‥これ、傑作だ! このアルバムの中でも1、2を争う出色の解体振りだと思う。ゴシック調に始まり、サビにくるとドカーンと爆発するグランジ調アレンジ。自分自身を常に持っているバンドのアレンジはこうも違うのだろうか? 原曲にあった「切なさ」が、このアレンジで聴くと「ストーカー的圧迫感」(笑)を感じる。この力技、半端じゃないと思う。OBLIVION DUST、やはり侮れないバンドだ。

M-12. GLAY「MISERY」(from ALBUM「PSYENCE」)
  GLAY、レコード会社移籍第1弾の仕事がこれ。彼等もこの曲には自らがプロデュースに当っている。それにしても‥‥好き放題やってるなぁ、というのが第1印象。こんなにテンポアップにして、原曲のメロディアスさを殺してないか?と思ったのだが‥‥スタッフは誰も何も言わなかったのだろうか?(笑)GLAYにとってもhideという存在は特別だったようだ。それにしても‥‥このパンキッシュなアレンジに、ファン以外の人間はGLAYらしさを感じる事が出来るのだろうか? かなり疑問が残るアレンジだ。中盤のアコースティックによる「和み」の部分に「GLAYらしさ」を垣間見る事は出来るのだけど‥‥

M-13. I.N.A.・Pata・heath「CELEBRATION featuring hide」(from ALBUM「BLUE BLOOD」)
  最後の2曲は完全な「身内」の参加作品。hideがソロ活動の際には常に活動を共にしてきたI.N.A.、X JAPANのメンバーPataとheathが参加したこの曲は‥‥なんとX時代の名曲のリアレンジ曲。しかもボーカルトラックにhideの未発表音源を使用している。ということは‥‥いずれこの曲をX時代とは別のアレンジで発表する計画があったという事か? となると「JOKER」や「SCARS」なんかのデモ音源も残っているのでは?‥‥なんて考えてしまった。それにしてもこれは‥‥もう反則です!(笑)冷静に判断を下せ、という方が難しい。hideが参加してるんだぜ!? これ以上何を言えばいいっていうんだ? 「Ja,Zoo」に入っていてもおかしくないアレンジだし、やはりこれは「hide以上」でも「hide以下」でもない、正真正銘のhideの作品だ、と言いたい。彼がアレンジに関わっていなくても、これはhide以外の何ものでもない。これは嬉しいボーナスだった。

M-14. YOSHIKI「GOOD-BYE」(from ALBUM「PSYENCE」)
  最後まで参加があやふやだったYOSHIKIが選んだのが、この曲‥‥何も言う事はないと思う。僕自身の感情とは別に‥‥あのイントロダクションのピアノソロも彼によるものだろう。あのイントロに、このアウトロ‥‥感傷的になってしまうが、ひとつの作品という意味ではこれで正解かも。


  こうやって通して聴いてみて改めて思った事‥‥hideという「ソングライター/表現者」の非凡さ。こんなにポップで判りやすく、それでいてロック然としている。いろいろなジャンル/新しい表現に常に興味を持ち、それを自己流の消化をしてみんなの前に提示する。何度も言うが、日本のヒットチャートに「ピンクスパイダー」のような楽曲を送り続けた彼は、やはり偉大すぎる。
  hideの不在‥‥それは、こういうイノベィティングなソングライター/表現者を失ったという事。こういうジャンルでこういう事をやるアーティスト。しかもヒットチャートの上位に君臨する「ポップスター」としても機能する存在‥‥確かにLUNA SEAやラルクといった後輩達がそれに追いつけ追いこせと頑張っているが‥‥今世紀、という意味では彼が最後なのかもしれない。今後、「最も影響を受けたアーティストはhideです」という若手が多く出現するだろう。そして、その度に思い出して欲しい。hideが如何に素晴らしいアーティストだったかという事を。忘れないで欲しい。本来、「アーティスト」とはこういう人の事を言うのだという事を‥‥ありきたりの言葉しか言えないが、1年前に言えなかった事を今、言いたい。

‥‥‥‥‥Thank you, and.....I love you.



▼『hide TRIBUTE : SPIRITS』
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投稿: 1999 05 02 12:00 午前 [1999年の作品, BUCK-TICK, Compilation Album, D'ERLANGER, GLAY, hide, LUNA SEA, Oblivion Dust, X JAPAN, Zeppet Store] | 固定リンク