2017/01/08

YNGWEI J. MALMSTEEN'S RISING FORCE『ODYSSEY』(1988)

イングヴェイ・マルムスティーンのソロ名義(RISING FORCE名義含む)での通算4作目のアルバム。いわゆるギターファンには初期3作(1984年の『RISING FORCE』、1985年の『MARCHING OUT』、1986年の『TRILOGY』)に対する評価が高いと思うのですが、そもそもそこまで速弾きが好みではない自分からすると、初期のインスト主体の作風はそこまでピンとこなくて。むしろそのへんは大人になってからのほうが受け入れられるようになった気がします。

で、この4thアルバム『ODYSSEY』はそれまでの歴代シンガー(ジェフ・スコット・ソート、マーク・ボールズ)のように、当時そこまで知名度の高くなかった方々と違い、すでに名のあるジョー・リン・ターナー(後期RAINBOW)をフロントマンに据えることで、一気にメジャー感が増した1枚。何より、歌メロの親しみやすさが急増したのがポイントで、本作からの1stシングル「Heaven Tonight」のキャッチーさ(これこそ「All Night Long」以降RAINBOWが目指したポップ路線の延長)がすべてを物語ってるんじゃないでしょうか。イングヴェイ、この曲によって本気で全米制覇を目指したんだろうなぁ。

本作がリリースされたのも1988年(この縛り、まだ続いてたのか。笑)。前年1987年にBON JOVI、WHITESNAKE、DEF LEPPARD、MOTLEY CRUE、そしてGUNS N' ROSESらが勃発させたアメリカでのHR/HMブームによって、いわゆるB級バンドにまで注目が集まり始めたタイミングということもあり、それまでカルト的な人気を誇るギタリストだったイングヴェイも「これは!」と思ったに違いない。そこで手に入れた相棒ジョー・リン・ターナーの知名度と実力によって「俺、行けるんちゃう?」と思ったことでしょうね。

確かに本作、これまでの彼の作品の中ではもっとも高い全米40位という記録を樹立。イギリスでも初のチャートイン(27位)を果たしており、それなりの結果を残しております。実際「Heaven Tonight」のMVも当時MTVなどでかなり目にしたんじゃないでしょうか(ここ日本でもTBS『PURE ROCK』でオンエアされてましたし)。でも、ジョーはこのアルバム1枚のみで脱退。その後、セールスにおいては本作並みの成功を手にいれることはできておりません。ただ、別の意味で知名度は高めたので、それはそれでいいんじゃないでしょうか。

(にしても、このMVでのボーカル以上に目立とうとするイングヴェイ。冷静に観ると笑えてきますね)

このアルバム、今聴いても本当に良い“歌モノ”HRアルバムですね。オープニング2曲「Rising Force」「Hold On」の美メロ、ポップな「Heaven Tonight」、泣きの「Dreaming (Tell Me)」、ゴリ押しのインスト「Bite The Bullet」からドラマチックな歌モノ「Riot In The Dungeons」や「Deja Vu」、終盤のクライマックス「Faster Than The Speed Of Light」から続くインスト2連発「Krakatau」「Memories」。単なる歌モノで終わらせず、ちゃんとイングヴェイらしい自己主張もインスト3曲で果たしてる。このバランス感でかろうじて「イングヴェイのアルバム」という面目を果たしているというか。さすがですね。

改めてクレジットを見ると、ベースにボブ・ディズリーが参加してたり、ドラム&キーボードがアンダース&イエンス・ヨハンソン兄弟だったり、ミックスを担当してるのがスティーヴ・トンプソン&マイケル・バルビエロだったりと、いろいろ時代を感じさせます。そういえば、過去3作と比べて音質が良くなった気がしたのも、こういったエンジニア陣の尽力によるものだったんですね。納得です。



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投稿: 2017 01 08 12:00 午前 [1988年の作品, Yngwei Malmsteen] | 固定リンク