2017/09/08

OZZY OSBOURNE『NO MORE TEARS』(1991)

1991年秋に発表された、オジー・オズボーン通算6作目のスタジオアルバム。前作『NO REST FOR THE WICKED』(1988年)から参加したザック・ワイルド(G)の才能が遺憾なく発揮された、オジー史上もっともバラエティに富んだ作品です。セールス的にも全米だけで400万枚を売り上げ、ソロデビュー作『BLIZZARD OF OZZ』(1980年)に匹敵するヒット作となりました。

前作では従来のオジーらしさや「BLACK SABBATHのオジー・オズボーン」のイメージを踏襲した、ハードエッジなギターを前面に打ち出した攻めの1枚でしたが、本作ではハードさはそのままに、曲によっては非常にポップでキャッチーな作風を打ち出したり、ザックの持ち味であるアメリカ南部テイストと取り入れたバラード、さらにはLED ZEPPELINの香りすらするサイケデリックな大作など、とにかく1曲1曲の個性が際立っており、まるで“おもちゃ箱をひっくり返したかのような”作品集に仕上がっております。

興味深いのは、MOTORHEADのレミーが制作に加わった楽曲が多数含まれて居ること。のちにMOTORHEAD自身もセルフカバーする「Hellraiser」のほか、今やライブの定番曲となった「I Don't Want To Change The World」、シングルヒット(全米28位)も果たしたパワーバラード「Mama, I'm Coming Home」、前作の流れを汲むハードな「Desire」の4曲で、レミーは作詞面で協力したと言われています。

また、アルバム完成後にバンドに加わるマイク・アイネズ(B/のちにALICE IN CHAINSに加入)のアイデアが生かされたアルバムタイトル曲「No More Tears」は、その後のオジーにとって大きな転機となった1曲。もちろんソングライターとしてのザックの才能によるところも大きいのですが、こういった曲を自然にやれるようになったことで、オジーは自身のルーツにあるTHE BEATLESテイストを次作『OZZMOSIS』(1995年)以降もストレートに出していくことになります。

全11曲で57分というCDを意識した大作ですが、1曲1曲の出来が優れているだけにまったく飽きないし、そういう点においてはDEF LEPPARD『HYSTERIA』(1987年)などにも通ずる魅力があるのではないでしょうか。ただ、現行のCDには日本盤初版に収録されていたボーナストラック2曲「Don't Blame Me」「Party With The Animals」が世界共通ボートラとして追加され、計66分とさらに長くなっています。2曲ともあくまで“ボーナストラック”なので、完成度はアルバム本編と比べて若干落ちますので、普段聴くぶんには11曲目「Road To Nowhere」でキレイに締めくくったほうがいいかもしれませんね。

ちなみにオジーは本作発表後、同作を携えたワールドツアー終了を持ってライブから引退することを発表。しばし隠居生活に入りますが、結局1995年にはザックを呼び戻して『OZZMOSIS』で復活宣言。ツアーにはジョー・ホルムスが参加してライブ活動を再開させるのでした。



▼OZZY OSBOURNE『NO MORE TEARS』
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投稿: 2017 09 08 12:00 午前 [1991年の作品, Ozzy Osbourne, Zakk Wylde] | 固定リンク

2017/05/10

PRIDE & GLORY『PRIDE & GLORY』(1994)

ザック・ワイルドがこの夏、オジー・オズボーンと再びタッグを組んでツアーをするそうですね。ザックがオジーバンドで本格的にギターを弾くのは2007年のアルバム『BLACK RAIN』に伴うツアー以来。ここ数年も「OZZY & FRIENDS」名義で共演する機会はあったものの、正式なギタリストとして活動をともにするのは10年ぶり。気づけば1987年にオジーと出会って、今年で30周年なんですよね。

近年はBLACK LABEL SOCIETYやソロでの活動が中心のザック。1988年にオジーの5thアルバム『NO REST FOR THE WICKED』でプロデビューしたわけですが、自身が中心となって制作されたアルバムは1994年に発表されたPRIDE & GLORY名義によるアルバム『PRIDE & GLORY』が最初でした。

このPRIDE & GLORYというバンドは、オジーの最初の引退宣言(90年代初頭)を受けてザックがジェイムズ・ロメンゾ(B)、ブライアン・ティッシー(Dr)が結成したトリオバンド。ザックはギターのほか、ボーカルも兼務しています。ザックの歌がそれなりにうまいとか、意外とオジーに似てるとかいう噂はその前から耳にしていましたが、確かにこのアルバムで聴けるザックのボーカルは「オジーの声をもっとドライにしてソウルフルさを足した」ような歌声です。ギターもあれだけうまいのに、歌も個性的かつ味があるなんて、なんて才能に恵まれた男なんでしょう。

サウンドは、ザックの才能が本格的に発揮されたオジーの6thアルバム『NO MORE TEARS』でも聴けた、“BLACK SABBATH直系のヘヴィロック+THE ALLMAN BROTHERS BANDやLYNYRD SKYNYRDなどサザンロックやブルースからの影響が強いルーズなアメリカントラディショナル”をさらに強化させたもの。オープニングの「Losin' Your Mind」なんて、イントロでいきなりバンジョーが登場しますからね。ただ、そのあとに押し寄せてくるリフの塊、のたうちまわるギターソロはザックのイメージそのまんま。続く「Horse Called War」なんて“オジー meets ジャニス”的な疾走チューンですし、その後も歌とギターを前面に打ち出したヘヴィロックやカントリーナンバー、ストリングスを取り入れたサイケデリックロックなどが続出します。

すごくカッコ良い楽曲満載なのですが、ひとつ難点が。このアルバム、非常に長い! ボーナストラックを除いても全13曲で70分。現行のリイシューバージョンなんてボーナスディスク付きの2枚組で、本編が13曲、ボーナス盤6曲で計100分ですからね……アナログだったら2枚組、下手したら3枚組になっちゃいますよ(苦笑)。

ただ、そのボーナスディスクに収録されているのが、BLACK SABBATH「The Wizzard」、LED ZEPPELIN「In My Time of Dyin'」、THE BEATLES「Come Together」とカバー三昧。カバーというよりもコピーに近い前者2曲も良いですが、ギターの替わりにピアノを弾きながら歌うブルージーな「Come Together」もなかなかの仕上がり。全部聴いたらかなりお腹いっぱいになると思われますが、ぜひこのカバーだけでも聴いてみてほしいです(嘘です、本編も最高なので、まずはそちらから聴いてみてください)。

結局PRIDE & GLORYはこのアルバム1枚でその活動に幕を下ろしてしまいますが、本作に含まれているいくつかのアコースティックナンバー(先の「Come Together」含む)がひとつのヒントとなって、1996年にソロ名義のアルバム『BOOK OF SHADOWS』を発表することになるのでした。



▼PRIDE & GLORY『PRIDE & GLORY』
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投稿: 2017 05 10 12:00 午前 [1994年の作品, Black Label Society, Pride & Glory, Zakk Wylde] | 固定リンク

2017/01/13

OZZY OSBOURNE『NO REST FOR THE WICKED』(1988)

オジー・オズボーンにとって通算5枚目のオリジナルアルバム『NO REST FOR THE WICKED』は、1988年に発表されました。前任ギタリスト、ジェイク・E・リーの脱退を経て、1987年春にランディ・ローズ時代のライブ音源を収めた『TRIBUTE』を発表。そういったブランク期間に行われたオーディションを経て加入したのが、加入当時20歳だったザック・ワイルド。今ではいかついオッちゃんになっちゃいましたが、当時はポスト・ランディと言わんばかりの美少年だったんですよ(ただし、ルックスのみ)。

そんなザック加入後、初のアルバムには前作から引き続きランディ・カスティロ(Dr)、古くからの付き合いとなるボブ・ディズリー(B)、ジョン・シンクレアー(Key)が参加。レコーディング終了後にはBLACK SABBATH時代の盟友ギーザー・バトラーが加わり、ツアーではサバスの1/2が揃ったことでも話題になりました。

クラシックがルーツのランディ・ローズ、日本人の血を引くジェイク・E・リー(2人の間にはNIGHT RANGERのブラッド・ギルスなどもいましたが、ここでは割愛)に続くギタリスト、ザック・ワイルドは2人とも違ったカラーの持ち主。尊敬するギタリストとしてランディの名を挙げつつも、ブルースやカントリーからの影響も強く、その色合いは作品を重ねるごとに強く表れていきます。

しかし、本作ではまだその独特な個性は完全に発揮されているとは言いがたく、あくまで「オジーが主役のアルバム」の中で、与えられた見せ場の中だけで暴れている印象。とはいえ、そのギターソロやリフワークが尋常じゃないくらいカッコいいんですけどね。オープニング「Miracle Man」冒頭のリフだけで心を持っていかれた本人(私)が言うんですから、間違いない。そこから、あのギターソロ。ああ、すげえ奴が現れたぞ、と。正直、音源だけ聴いてたらオジーの存在を忘れてしまうくらいです(いや、そんなことはないけど)。

やたらとポップで「LAメタル版オジー」と言わんばかりの前作スタジオアルバム『THE ULTIMATE SIN』から一変、そして初期2作とも異なる攻撃性を持った楽曲&サウンドはBLACK SABBATH時代のそれとも異なり、1988年という時代に非常にマッチしたものでした。そういう意味では本作、ザックという若い未成熟な個性、そしてオジーのことを熟知したランディ・カスティロ、ボブ・ディズリーなど熟練メンバーのサポートが融合することで生まれた、奇跡的な1枚なのかもしれません。

頭3曲(「Miracle Man」「Devil's Daughter (Holy War)」「Crazy Babies」)の怒涛の構成、「Bloodbath in Paradise」「Fire in the Sky」の中盤、そして「Tattooed Dancer」「Demon Alcohol」の攻めまくりな後半。とにかく空きのない構成です。だからこそ、CDでボーナストラック的なポジションの「Hero」と「The Liar」は蛇足かなという気も。楽曲自体は悪くないけど、このアルバムの中では置きどころが難しいかなと。そこだけが勿体ないと思ってます。

オジーとザックの蜜月期は、続く1991年の6thアルバム『NO MORE TEARS』でピークを迎えますが、それはまた別の機会に。



▼OZZY OSBOURNE『NO REST FOR THE WICKED』
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投稿: 2017 01 13 12:00 午前 [1988年の作品, Ozzy Osbourne, Zakk Wylde] | 固定リンク

2004/05/23

OZZY OSBOURNE『DOWN TO EARTH』(2001)

6年待ってこれかよ‥‥リリース当時の偽らざる気持ちが、これ。いや、リリース前にラジオで聴いたアルバム1曲目 "Gets Me Through" を聴いた時は、確かな手応えを感じたんだけど‥‥

世間的にラウドロック/ヘヴィロックと呼ばれるジャンルが盛り上がっていったのが、'90年代末。そんな中実現したBLACK SABBATHの(一時的な)再結成。新曲2曲を含むライヴアルバムもリリースされたものの、オリジナルアルバムは'95年の「OZZMOSIS」以降6年以上に渡ってリリースがなかったオジー・オズボーン。今や「ヘヴィメタル界の帝王」なんて形容詞もいらない程に「HM/HRの象徴」と化した彼が、こんなに「オイシイ」時期に過去の楽曲を再録音したものを出してお茶を濁すなんて‥‥いや、それを時代が求めていたことも重々承知してるよ。けどさ‥‥やっぱり俺達は「新しいオジーの曲」「カッコいい最新型のオジー」が聴きたかったわけじゃない、違う?

メンバーが流動的で固定されないまま突入したレコーディングは長期に渡ったようですが(というか、ソングライティングに関してもかなりいろんな外部ライターと作業をしたようですね)、最終的に21世紀に入った2001年10月に、ようやくリリースされたのがこの「DOWN TO EARTH」。そしてリリースされたアルバムを手にして感じたのが、最初の行。

プロデューサーにメタル畑以外からの人選(U2、THE CURE、デヴィッド・ボウイのTIN MACHINE等を手掛けるティム・パーマー)という時点で、個人的には嫌な予感がしてたんだけど‥‥うん、正直に書くね。俺にとっては、オジーがリリースしたソロ・アルバムの中で、一番印象が薄い、一番つまらないアルバムがこれ。勿論、その辺の2流バンドのアルバムと比べれば雲泥の差なんだけど(クオリティー的には非常に高いとは思いますよ、このアルバム)、けどさ‥‥誰が今のオジーにカッチリ作り込まれた品の良いアルバムを期待する?

まずさ、このアルバム最大の失敗点って、アルバム制作前までにバンドを固定しなかったことだと思う。「OZZMOSIS」の時もいろんなソングライターと共同作業で制作してるけど、基本的にはすぐ側にザック・ワイルドという最高のギタリスト/ソングライターがいたし、更には気心知れたギーザー・バトラーというベーシスト/ソングライターもいて、新顔だけどアホみたいに叩きまくるディーン・カストロノヴォもいた。こういったメンバーがしっかり自己主張してたんだよね、アルバム内で。

ところが今回の場合、リズム隊はマイク・ボーディン(元FAITH NO MORE)とロバート・トゥルージロ(元SUICIDAL TENDENCIES、現METALLICA)を固定しながらも、ギタリストに関しては曲作りの時点ではジョー・ホームズが参加、しかしこれといったケミストリーがみられず脱退、レコーディングではバッキングをプロデューサーのティムがこなし、ソロパートと一部のバッキングをまたザックに依頼するという形。つまり、ザックは自分が書いていない曲(ギターリフ)を弾かされたり、ただソロを弾くために呼び戻された、と‥‥こんな作業にケミストリーが生まれると思う?

そりゃね、確かにザックのプレイは凄いですよ。彼が参加したスタジオ盤過去3作と比べれば暴れ度は相当低いですが、それでも彼のプレイに突入した途端に場の空気が一変し、緊張感が高まるし。何だろうねぇ、これ。

何度も書くけど、曲は決して悪いとは思わないのよ。そりゃさ、一流のソングライターが山ほど参加してるんだもん。スコット・ハンフリー(MOTLEY CRUEやROB ZOMBIE等のプロデューサー)、ジェフ・ニコルズ(BLACK SABBATHのキーボード等)、マーティ・フレデリクセン(AEROSMITH等で有名)、ミック・ジョーンズ(FOREIGNER)、アンディ・スターマー(元JELLY FISH。現在は日本のPuffyのプロデュース/ソングライターで有名)、ダニー・セイバー(元BLACK GRAPE。UKロック/ダンス系プロデュース/リミックスで有名)といった名前が共作者として並び、更に今回アルバムに収録されなかった曲ではデイヴ・グロール(元NIRVANA、現FOO FIGHTERS)、マイク・マクレディ(PEARL JAM)、そしてザック・ワイルドの名前もあったそうで‥‥勿体ない。それ全部ザックのギターを全面的に導入して再録音してさ、今から出そうよ、ねぇ‥‥

まぁそういった錚々たるメンツによる楽曲だけど、最終的にどれも「オジー印」の楽曲に仕上がっているのは、もはや「オジーが歌えば全部オジーの曲に聞こえる」という事実の象徴というかなんと言うか‥‥言い方悪いけど、全部同じに聞こえてくるというのも事実でして。なんて言うかねぇ‥‥バリエーションが狭い、というか、過去の焼き直し、というか、新境地らしい新境地なしの安全パイ、といったイメージが非常に強い作品でして。冒険が少ないんですよね‥‥新しい発見も少ないし。で、それをダメ押しするかのような、没個性的なバックトラック‥‥リズム隊さ、もっと華があるはずなのに、全然普通。ベースももっとバキバキいったプレイをするはずのロバートが、完全に地味に徹してるし。そしてギターな。恐らく半分以上ティムが弾いてると思うんだけど‥‥本当につまらない。やっぱりこの人、ヘヴィメタルの人じゃないしさ、メチャメチャ普通に刻んでるだけ、という真面目なプレイが基本なのね。だからさ、ザックのプレイと思われるギターが登場すると、完全に食われる。音圧も全然違う。曲のイントロでザックが特徴あるチョーキング&ハーモニクス等で盛り上げてから歌に突入すると‥‥急にバッキングの音圧が低くなる。で、またザックのギターが入ってくると分厚くなる。プロデューサーとして、これはアリなの??

少なくともファンはオジーのアルバムに、こんな品の良い作品集は求めてないはず。もっとギトギトしたリズム隊に、ザラザラしてささくれ立ったギターが被さって、そこにダブルボーカルのオジーの声が乗る‥‥それだけで「おおっ!」ってなるのにさ。結局、オジーのことを理解してない奴、オジーに対して敬意を払えない奴と仕事するとこういう結果に終わるという、悪いお手本ですよね。ホント、これなら「THE ULTIMATE SIN」の方が100万倍も優れてると思うよ。

ミドルテンポ中心でもフックが沢山仕込まれていた前作。楽曲のバリエーションが一気に広がった結果、ソロとしては過去最高のセールスを記録した「NO MORE TEARS」。'90年代はこの2枚しかオリジナルアルバムをリリースしてないわけだけど、ホントこれらと比べるのが申し訳ない程の内容。いや、何度も書くけど曲は悪くないのよ、うん。だからね、アレンジだったりさ、制作側の熱意だったりさ、そういった要素に欠ける‥‥そう、決定的な「売り」がないんだよね。「オジーが今回も歌ってます!」ってのじゃあねぇ‥‥オジーのアルバムなんだから当たり前だし。これ聴いちゃうとさ、本気でオジーは「オジー+バックバンド」という構図で、ソロ・シンガーとしての道を歩みたいのかなぁ‥‥と心配になってきちゃうよね。まぁザックは今あの調子だし、本気で再び一緒にやる気があるのかどうか(いや、ちゃんと声さえかかれば、彼も本腰入れて仕事すると思うけどね)‥‥そしてリズム隊‥‥その後、ベースが元METALLICAのジェイソン・ニューステッドに変わったり、またまたギーザー・バトラーが出戻りしたり、かなり流動的。本気で「ケミストリー云々」とか口にしてるのか正直疑問(ま、この場合はオジーというよりも、マネージャーであり妻であるシャロンの意見が強いんだろうけど)。

あんまりさ‥‥オジーのことで悪いこと書きたくないんだけどねぇ‥‥やっぱりほら、自分にとっても「スーパースター」だからさ、どうしても常に最高でいて欲しいわけじゃない? そんな人が6年振りにアルバム出したら期待以下だったらねぇ‥‥で、ここから更に現時点で3年近く経ってるわけじゃない? その後当然のように新譜が出る気配はないし、で昨年末のあの大事故だし。今年の夏はソロとしてなのか、あるいはBLACK SABBATHとしての活動なのか現時点では不明ですが、とにかくね‥‥まだまだ現役でやる気があるなら、本当に「凄い」アルバムを期待してます。もう「良い」アルバムは今回ので十分ですから。



▼OZZY OSBOURNE『DOWN TO EARTH』
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投稿: 2004 05 23 04:29 午前 [2001年の作品, Ozzy Osbourne, Zakk Wylde] | 固定リンク

2001/09/09

OZZY OSBOURNE『THE OZZMAN COMETH』(1997)

1997年11月に発表された、BLACK SABBATHから現在までのオジー・オズボーンの歴史を総括するような内容のベストアルバム。普通ベストアルバムというと「興味はあるけど聴いたことがない初心者向け」というお手軽さがあって、コアなファンには必要のない代物の場合が多いが、これはちょっと違う‥‥マニアをも唸らす音源入りなのだ。「ベースメント・テープス」と銘打たれたそれらの音源は、当時流行っていた「BBCラジオ・スタジオライヴ音源」に匹敵する、或いはそれ以上のお宝で、音は悪いものの資料価値としてはかなりのものなのでは‥‥なんて騒がれた程だ。

'70年のBLACK SABBATHのリハーサルテープだという4曲(本編のディスク1に "Black Sabbath" と "War Pigs" が、ボーナスディスクには "Fairies Wear Boots" と "Behind The Wall Of Sleep" の計4曲)が収録されているこのベスト盤。コアなサバスファンをも唸らすそれら4曲は確かに衝撃だ‥‥10分近くもある "Black Sabbath" は勿論なのだが、何よりも驚いたのが‥‥恐らくまだセカンドアルバムをレコーディングする前のリハのものだと思われる "War Pigs" だ。何せ歌詞が現存のものと全く違うのだから。国内盤には歌詞が付いているがオリジナル音源のものなので、これ程意味をなさないものもなかろう。アレンジ自体はほぼ完成型に近いのだが、唄われている内容は‥‥聞き取り難いのだけど‥‥多分当初は「War Pigs」ってタイトルではなかったのでは?と思わせる節もある。所々現在の歌詞を思わせるフレーズがあるものの、やはりどこかぎこちなさを感じさせる。非常に面白い代物だろう。

4曲全てに共通する事なのだが、演奏がスタジオテイクと比べてスローで、かなりドゥーミーな雰囲気を醸し出している。もしかしたらマリファナでラリってる状態で演奏されたものかもしれない。それとチューニングの問題。ライヴでのサバスは既に当時からチューニングをスタジオテイクよりも1音下げていたという。これは'80年に急遽リリースされたライヴ盤「LIVE AT LAST」でも確認できる。ということは、やはりこれらの音源はライヴではなく、リハーサルの音源という事になるのだろうか‥‥当のオジーでさえもこれらの音源が何時・何処で録音されたものなのか、正確には判らないという位、いい加減に録音されたものなのかもしれない。モノラルでかなりこもった音をしてるが、当時の雰囲気だけは掴めると思う。いや、ある意味この録音状態がBLACK SABBATHというバンドの体質にピッタリなのかも。

というわけで、貴重音源を含むこのベスト盤。メインディッシュはなにもこれだけではない。新曲(いや、正確には未発表曲)も含まれている。ディスク1最後に収録されている "Back On Earth" がそれで、録音自体は'95年にリリースされたアルバム「OZZMOSIS」当時のものだ。所謂アウトテイクなのだが‥‥本来は当時('97年)のバンドメンバー(ジョー・ホルムズ、ロバート・トゥルージロ、マイク・ボーディン)と共に作った曲を収録する予定だったが、時間の都合で完成にまで到らなかったらしい。しかし一説によると、ジョーの書く曲にオジーが満足しなかったという噂もある。これが結局、現在のザック・ワイルド出戻りに関係してくるのかもしれない。

で、この未発表曲だが‥‥特に可もなく不可もなくといった出来の、「OZZMOSIS」にそのまま入っていても不思議ではない、メロウな楽曲。けど特に印象に残るような曲でもないという事も付け加えておこう。これだったらボーナスディスクに日本盤のみ追加収録されている "Walk On Water" の方がいい曲のように思えるのだが(アメリカで当時流行っていたアニメ「ビーヴィス&バットヘッド」のサントラ盤に収録されていた曲)‥‥他にもこのボーナスディスクには映画「HOWARD STEIN : PRIVATE PARTS」のサントラに収録されていたTYPE O NEGATIVEとの共演曲である "Picture Of Matchstick Men" (STATUS QUOの'68年のヒット曲のカヴァー)も収録されていて、お得だ。更には'88年に行われたオジーとRED HOT CHILI PEPPERSのベース、フリーとの対談(17分)も収録されているが‥‥英語に自信のある方のみ聴いていただきたい。

以上のように、既に全アルバム持っている人に向けてはそれなりの価値がある音源が幾つか入っているので、まぁ通勤通学時に気軽に聴くには(サバスのリハテイクは気軽に聴けるような代物とは思えないが)いい1枚かもしれない。では、これからオジーを聴いてみようと思ってる人には‥‥確かに代表曲が殆ど収録されているし、コアなファンからすれば疑問の残る曲もあるにはあるが‥‥まぁオジーの歴史をかいつまんで知りたいあなたには打って付けの1枚かもしれない。ランディ・ローズ(初期オジー・ソロの立て役者であり、メタル界屈指の名ギタリスト。'82年3月に飛行機事故で亡くなっている)在籍時の音源もサバス "Paranoid" のライヴテイクも含めて5曲も収められているし(最も在籍期間の長いザック時代の6曲に次ぐ多さ)。逆にジェイク・E・リー時代が少ない気もしないではないが‥‥これから聴くって人には、約30年近い歴史を15曲で追うのだからこれでいいのかもしれない。逆に興味を持ったなら、ライヴ盤(「LIVE & LOUD」か、ランディ在籍時の名ライヴ盤「TRIBUTE」)に手を出せばいいわけだし、更にサバスに手を出せばいいだけの事だ。

最後に‥‥このレビューを書くに当たって、既に中古盤屋に売ってしまっていたこのアルバムを買い直したのだが‥‥やっぱりオジーは、俺の十代を象徴する曲ばかりで‥‥青春って感じなんだな。ドロドロしたイメージがあるかもしれないが、"Goodbye To Romance" のようなメロウなバラードもあるし(リサ・ローブがカバーしたバージョンも素敵です)、"Mr.Crowley" みたいな泣きの曲もあるし‥‥高校時代 "Crazy Train" とかバンドでコピーしたり、自身のギターの課題曲として "Bark At The Moon" のリフやソロをコピーしたのも、今となっては懐かしい思い出。聴いた事がない人。とにかく思った以上にポップだという事に驚かされると思うので、気楽に手を伸ばしてみては如何だろうか?


(2004年5月23日追記)
今回このレビューを再構築するに当たってAmazon.co.jpで現在流通しているこのアルバムを調べたら、2002年のリマスター化の際に収録曲目が見直しされてたのね。ジェイク時代の "Shot In The Dark" が削られて、代わりにザック加入後最初の "Miracle Man" に差し替えられてます。個人的には "Shot In The Dark" って大好きな曲なので、どうせならライヴでもあんまり演奏する機会のない "Crazy Babies" を削ればよかったのにね。ってそれって偏見?



▼OZZY OSBOURNE『THE OZZMAN COMETH』
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投稿: 2001 09 09 04:25 午前 [1997年の作品, Black Sabbath, Ozzy Osbourne, Zakk Wylde] | 固定リンク

2001/09/08

OZZY OSBOURNE『OZZMOSIS』(1995)

“HM/HR界の「サージェント・ペパーズ」”という大袈裟な表現が似合う程、これまでのオジー・オズボーンのイメージとは異なる楽曲が多く、幅広く収録された'95年発表のソロとしては7枚目のオリジナルアルバム(ライヴやベストを除く)であり、現時点(2001年9月)に於いての最新作。この10月にはいよいよ6年振りにオリジナルの新作が発表されるそうだから‥‥もうそんな前の作品になるのか。考えてみれば、この6年の間には「OZZFEST」開始もあったし、初のベスト盤リリースもあったし、BLACK SABBATHとしての復活もあった。ソロでのバンドメンバーも度々変わり、一体現在誰が在籍してるのか判らなくなる時期もあったが、結局この6年はサバスを中心に回っていた感もあるので、気にしないこととしよう。

この「OZZMOSIS」は'91年秋に発表された「NO MORE TEARS」から4年振りに発表されたオリジナル新作。だが、ちょっとこのアルバムリリースにはいろんな意味が隠されている。まずオジーは'91年に一度、ステージからの引退を発表しているのだ。よって「NO MORE TEARS」でのツアーが最後のツアーということで、世間を騒がした。アルバムリリース1ヶ月後にここ日本からスタートしたワールドツアー(勿論、俺も武道館に足を運んだ。2階席のかなり後方だったがいい想い出だ)は約1年続き、最終日には幻のオリジナルサバス再結成も含まれていた。それらの音源を含んだ、集大成的内容のライヴアルバム「LIVE & LOUD」を'93年に発表し、オジーはそのまま隠居するのかと思われた。翌年にはBLACK SABBATHトリビュートアルバムに(トリビュートされる側にも関わらず)ゲスト参加し、同時にこの頃から「アルバム制作開始」の噂が広がる。しかも、そのパートナーとしてスティーヴ・ヴァイの名前が挙がる‥‥オイオイ(苦笑)。ヴァイはメタル向きの人間ではない。アバンギャルドなそのプレイからミュージシャン受けが良く、グラハム・ボネットやデイヴ・リー・ロス、デヴィッド・カヴァデイルといったシンガー達と活動を共にした経験を持つが、やはりメタルの人とは言い難いプレイなのだ。そのヴァイとオジーは曲作りをしたそうだ。結局、アルバム参加にまでは到らず(当然のように周囲が猛反発したと聞く)、レコーディングには旧知の仲であるザック・ワイルド(Gt)、そしてサバスでの盟友であるギーザー・バトラー(Ba)、そしてヴァイから薦められた現JOURNEYのディーン・カストロノヴォ(Dr)が参加。プロデュースにはRED HOT CHILI PEPPERSやSOUNDGARDENでお馴染みのマイケル・ベインホーン、ミックスにはALICE IN CHAINSやCATHEDRALを手掛けるデヴィッド・ビアンコという、昨今のヘヴィ/ラウド・ロックには欠かせないエンジニア陣を起用。このメンツからして、どれだけヘヴィな音になるのかワクワクしたものだ。

さて、アルバムだが‥‥ヘヴィロック一辺倒という内容ではない。確かに1曲目 "Perry Mason" がスタートすると「これぞオジー流モダン・ヘヴィネス!」なんて唸ったりもしたが、アルバムが進むにつれいろんなタイプの曲が登場する。確かにヘヴィな音像をしており、ザックのギターもこれまでで一番ヘヴィだし、ギーザー&ディーンのリズム隊もモダンで重心の低い音を出す。けど、メロディーは相変わらずポップだし、サバスのヘヴィネスと比べるとどこか違う。よりモダンというのもあるが‥‥バックの演奏は確かに'95年当時のヘヴィロックなのだが、歌はいつものオジー。この絶妙な組み合わせが独特な味わいを出しているのだ。

このメンツじゃなきゃ作れなかったであろう超ヘヴィネスな "Thunder Underground" や "My Jekyll Doesn't Hide" のような曲もあれば、バラード "See You On The Other Side"、"Old L.A. Tonight" もある。サイケな "Ghost Behind My Eyes" や "Denial"、スティーヴ・ヴァイとの共作でやはりサイケテイストな "My Little Man"、歌モノポップスとしても通用しそうな(それでいてバックはHMな)"I Just Want You"‥‥これまでもHM/HR一辺倒というわけではなかったが、ここまでカラフルなアルバムは初めての事だ。前作「NO MORE TEARS」の時点でその前兆は見え隠れしていたが、ここまで本格的にやるとは‥‥本来はライヴなんて想定していなかったはずで、あくまで「スタジオ作品」として作られたはずなのだ。しかし、いつの間にか「ライヴからの引退、撤回」発言まで飛び出し、当然のようにこのアルバムでツアーにも出るわけだ(苦笑)。残念ながらというかやはりというか、ライヴではこのアルバムからの曲は数曲しか披露されなかったようだ。オジーのライヴは、基本的にはグレイテスト・ヒッツ的内容となっていて、新作からは2~3曲という事が多い。サバス時代~ソロまでの全作品から選ばれるわけだから、仕方ないと言われればそれまでだが‥‥個人的にはこのアルバムの楽曲の完全再現ライヴを観たかった。

オジーという人がBEATLESを好きだという事はファンの間では周知の事実で、実際これまでもそういう要素は所々に見受けられた。しかし、このアルバムのように本来は「ライヴを想定せずに作られた、スタジオワークの結集的」作品でその才能が開花するとは思ってもみなかっただろう、ファンも本人も。けど、やっぱりヘヴィメタルの人というか、その音像はメタル以外の何ものでもなく、バンドサウンドに拘っている。いや、もしかしたら楽曲作りの段階で、既にライヴを想定していたのかもしれない。ザック・ワイルドという類い希なるプレイヤー/コンポーザー/パフォーマーと共に曲作りを進め、そこに旧友ギーザー・バトラーが加わった時点で。個人的には、このメンツは最強だと思っていた、が‥‥ツアーに出れるのか出れないのかをザックに問いただすと、当時GUNS N'ROSESにも声をかけられていた彼は結局両天秤にかけ、それをオジーが激怒し、結局他のギタリスト(ジョー・ホルムズ)を起用する。そしていざツアーを開始すると、ディーンのドラムがうるさすぎるとの事でクビ(笑)、代わりに旧知のランディ・カスティロ(後にMOTLEY CRUE加入するも2002年5月、癌で死去)を起用することとなる。その後サバス復活の件もあってギーザーも抜け、ベスト盤('97年)に伴う日本ツアーでは何故かザック、ランディ、そして現ALICE IN CHAINSのマイク・アイネズという、「NO MORE TEARS」ツアーのメンツでの来日となった。結局その後、再びジョーが復帰し、ドラムは元FAITH NO MOREのマイク・ボーディン、ベースには元SUICIDAL TENDENCIESのロバート・トゥルージロを起用する事となる。

そういえば、このアルバムはオジーの歴史上、最も高順位に位置したアルバムである(米・ビルボード紙のアルバムチャートで初登場4位)。これまでもトップ10入りは何度か果たしていたが、4年のブランク後にこの結果‥‥しかも時代はヘヴィ/ラウド・ロック全盛時代。如何にオジーがメタル界だけでなく、多くのロックファンに復活を願われていたかが伺える象徴のひとつかもしれない。そしてオジーは、このアルバムを引っ提げて翌年、オズ・フェストを開催するのである。

最初に書いたように、このアルバムはBEATLESにおける「サージェント・ペパーズ~」のような内容にしたかった、とオジー自身も当時のインタビューで確か発言している。同じ頃、AEROSMITHのスティーヴン・タイラーも「エアロ版『サージェント・ペパーズ~』」と「GET A GRIP」を比喩している。ロック界では'90年代前半、こういうサイケで楽曲の振り幅が大きい内容のアルバムが流行だったのか‥‥そう考えてみると、そうかもしれない。'80年代末にTEARS FOR FEARSがおもむろにBEATLESをコピーした「SEEDS OF LOVE」というアルバムからスタートし、その後のOASISに到るまで‥‥そして最後には当のBEATLESの、音源上での復活。世紀末に向かうに当たり、もしかしたらロック界は再びスタート地点に戻ろうとしていたのか、それともグランジといったシンプルな演奏スタイルを目の当たりにして、ロック自体が再びシンプルなものへと戻ろうとする反動として、「サージェント・ペパーズ~」を持ち出したのか。その答えは今も判らないが、時同じくしてエアロとオジーが同じような事を考えていた事実が非常に興味深い。

今年初め、オジーが久し振りにソロアルバムを作っているという噂が広がり、三度ザック・ワイルドと曲作りを進めているとの情報が伝わってくる。そして‥‥結局噂でしかなかったが‥‥ドラムにトミー・リー(元MOTLEY CRUE、当時はMETHODS OF MAYHEM。現在は再びMOTLEYに復帰という話)、ベースにギーザー・バトラー、ギターにザックという布陣でアルバムのレコーディングに入るという噂が広がる。結局ザック、マイク・ボーディン、ロバート・トゥルージロというメンバーでレコーディングされたという。既に1曲聴いているが、かなり「復活サバス」を意識した、デッドなサウンド感を持ったヘヴィロックという印象を受けた。この「OZZMOSIS」と全く違った音になる事は間違いない。非常に楽しみだ。



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投稿: 2001 09 08 04:22 午前 [1995年の作品, Ozzy Osbourne, Zakk Wylde] | 固定リンク